世界初の試しとなるウォッチマニュファクチュールの建物を現代アートのキャンバスとして提供
ストリートの壁画から始まり、ランドマーク的なロケーションでの壁画やインスタレーションを手がけるアルゼンチン系スペイン人のフェリペ・パントンは、現代アーティストとして世界的に注目されている。デジタル革命の夜明けの時代、物質的な世界が初期の仮想次元のなかに表現されるようになった。そのような時代に育ったフェリペ・パントンが用いるのは正反対のアプローチであり、彼は形のないデジタル領域から現実の世界へとデザインの要素をもたらそうとする。彼の作品に共通するのは、アカデミックな技法やアートに関する既存の概念をすべて手放す姿勢。そうすることで、自分の表現を形にしていく際に、自由な創作や現代的で型にはまらないツールを使用する。
インタラクティブに動くオブジェクトから大規模なパブリックインスタレーションにまでおよぶパントンの作品から湧き上がるテーマはダイナミズム、変革、そしてデジタル革命。異なる解釈を呼び、見るものを飽きさせないパントンが手掛けるのは、ひと目でそれと分かり、急進的なデザインに対して目が肥えている人たちを含め、多くのアートファンが求める作品。
ゼニスとのコラボレーションについて、フェリペ・パントンは「このように豊かな遺産とスイスの歴史との深い関連性を持った場所を、すべての人々に堪能してもらえるような芸術作品に変えていく。そのような仕事を自分の憧れのウォッチメーカーと一緒にできることに、非常に大きな喜びを感じると同時に、誇りに思います。このような機会を与えてくださったこと、そして、私を信頼してこのような歴史的なランドマークを使用しての創作を許可してくださったゼニスに感謝します」と語る。
ゼニスマニュファクチュールの本館のタール塗り防水シートをキャンバスとして、パントンは、印象的な色彩のスペクトラムとデジタルグラフィックスの組み合わせという、自身の代表的なスタイルを使用して建物全体のファサードを包む壮大な作品を考案した。ル・ロックルのユネスコ世界遺産に施設を構えるマニュファクチュールのゼニスにとって、このコラボレーションは初となる試しみとなり、ゼニスの革新的で常識にとらわれないアプローチを体現する。