トルコ・エーゲ海に誕生した音響建築と感覚デザインの融合
デザインイノベーションスタジオSOURはトルコ・アリベイ島(ジュンダ島)のエーゲ海沿岸に、レコーディングスタジオとブティックホテルを融合した「Pur」を完成させた。本プロジェクトは、国際およびローカルの音楽家との共創によって生まれ、建築・音響・文化が交差する新たな場を提示する。音楽制作の環境そのものが最終的な成果に影響を与えるという思想のもと、場所や人、歴史と結びついた体験を空間として具現化した。
共創から生まれる音楽と空間
SOURは社会や都市の課題に取り組むグローバルなデザインイノベーションスタジオで、都市デザイン、建築、システムデザインを横断し、共創的手法を実践している。「Pur」は「音楽は人々を結びつける」というシンプルで切実な思想を体現する。多様性を称えながら一体性を生み出す場として構想され、音楽制作とコミュニティ形成が不可分に結びつくインフラとなる。
ローカルとグローバルのデュアルアライメント
本計画は、海、オリーブの木、風、鳥といった土地の本質を尊重しながら、世界水準の音響精度を実現するという問いに向き合う。「Pur」は、ローカルに根ざしながら最先端技術を導入する「デュアルアライメント」の実験として位置づけられる。両者は競合するものではなく、相互に増幅し合う関係として統合されている。建築は、ジュンダ島の伝統に基づく石造と木造の2層構成を採用しつつ、現代的な構造として再解釈した。内部では空間体験が変化し、多様なサウンドスケープの連続として展開する。高さや奥行き、反射と吸音の精密な調整によって、各空間は固有の録音特性を持つ。GFRCシェルは、この変化を象徴する装置である。地域的な静けさから高度に調整された音響環境へと導く閾として機能し、「音のワームホール」を通過するような体験を生み出す。それは、音楽が時間や文化、人々のあいだを横断する性質を空間化したものでもある。
自然光に満ちた洞窟空間
動線は地上階から地下約10mのミュージシャンラウンジへと続く。下降のプロセスは洞窟のような没入感をもたらし、音楽制作に適した環境を生み出す。一方で自然光は全体を通じて重要な要素として扱われる。ラウンジは上階のレストランやテラスと視覚的につながり、開放性と快適性を保つ。「自宅の延長」のような体験を提供し、地下空間特有の閉塞感を感じさせない。スタジオはボックスインボックス構造を採用し、高度な音響性能を確保する。ライブ室、コントロールルーム、ボーカルルーム、パーカッションルーム、リバーブチャンバー、編集室、マスタリング室、Dolby Atmosシアターを備える。メインのライブ室は最大75人編成のオーケストラに対応可能であり、可動間仕切りや回転・高さ可変の天井パネルによって、音響特性を楽器のように調整できる。
社会性と音響性能の共存
ダブルハイトのレストランが施設の中心を担い、屋外コートやラウンジ、テラス、海岸と連続する。ホスピタリティと高性能音響が共存する空間構成となっている。音響設計を担当したLevel Acousticのクリス・ウォールズは、「回転式で高さ調整可能なパネルと可変壁面の組み合わせにより、残響時間や初期反射を録音に応じて調整できる」と述べる。「2つのエコーチャンバーと組み合わせることで、非常に多様で独自性のある音響パレットを実現している」。
共創プロセスとしての建築
本プロジェクトは国際およびローカルの音楽家との対話を通じて導かれた設計原則を反映する。自然へのアクセス、グローカルな視点、創造の場、そして静寂の確保。これらは抽象概念ではなく、実体験に基づく要求として空間に落とし込まれている。その結果、建築そのものがコラボレーションの証となり、文化的生産の場として機能する。音楽ディレクターのピーテル・スナッパーは、「まだ始まったばかりだが、ファジル・サイをはじめとするアーティストたちは、この場所が創造性の障壁を取り払うと語っている」と述べる。「時間、自由、静けさ、インスピレーションがあり、創造的なアイデアが自然に、そして遊び心のある必然性とともに育まれる」。
SOUR
SOURは社会および都市の課題解決を目的とするグローバルなデザインイノベーションスタジオである。都市デザイン、建築、システムデザインを横断し、共創プロセスを通じてプロジェクトを展開する。専門性と同時に、人々の生活体験を重視したアプローチを特徴とする。

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