衛武営国家芸術文化センター
台湾高雄市にある衛武営国家芸術文化センターは、かつて主要な国際港であった高雄が、豊かな文化的気候を備えた近代的で多様な都市へと変容することを象徴する文化センターである。衛武営国家芸術文化センターは15年の歳月と107億台湾元(約386億円)を投じた、台湾最大規模の文化インフラ事業であり、台北市の国家両庁院(1987年)、台中市の台中国家歌劇院(2016年)に次いで3つ目の国立ホールとなる。建築デザインはオランダの建築事務所メカノー(Mecanoo)のフランシーン・フーベン(Francine Houben)が手がけ、この作品は香港デザインセンター(HKDC)が主催するDFAアジアデザインアワード2019のシルバーアワードを受賞した。ADFはメディアパートナーとしてDFAアジアデザインアワードをサポートし、5月に応募が開始されるDFAアジアデザインアワード2020も引き継ぎサポートする。
メカノーは、人口約300万人の高雄市住民にポジティブな社会的影響を与える亜熱帯公園の隣接する不可欠なものとして、かつての軍事地帯にある衛武営国家芸術文化センターをデザインした。象徴的な冠を持つ地元のバニヤンの木に触発された広大で起伏のある構造が外壁とルーフを構成し、さまざまな機能を結びつける。湾曲した鉄鋼構造は、地元の造船業者とオランダの造船業者の協力により建設された。ルーフの下にはバンヤンプラザがあり、広いシェルター型の公共スペースがある。住民は、昼夜を問わずに散策したり、歩道沿いやカジュアルなスペースで太極拳やステージストリートパフォーマンスを練習することができ、地上には曲がりくねったルーフの上に野外劇場があり、周囲の公園が舞台となっている。
亜熱帯気候を念頭に置いて設計されたオープン構造は、風がバンヤンプラザの中を自由に吹き抜けることを可能にしている。インテリアとエクステリアの間のシームレスなフローがフォーマルパフォーマンスとインフォーマルパフォーマンスとがクロスオーバーする機会を生み出す。
1,981席のコンサートホールや2,236席のオペラハウスなどの劇場が、構造が地面と接する建物の5つのコアである「脚」に配置され、コアはルーフのホワイエと各劇場の舞台裏を収容する地下のサービスフロアを介して相互に接続されている。