デザイン性も兼ね備えた多機能なスペースを実現
自然派ワインの代理店ヴァン・ダン・レ・ヴォワール(VDLV)の共同設立者であるジュリーとヴァレリアンは、ワインを紹介していたレストランをパンデミックによって閉鎖した代わりに、自分たちがイメージを反映した空間が必要だと感じていた。仕事場であり、テイスティングの場であり、クライアントを迎えて新商品を紹介する場であり、時にはワインメーカーがモントリオールに来たときに歓迎する場でもある、本社のような多機能なスペースである。
過去2年間のオンライン販売の成功によってチームが成長したため、代理店は800平方フィートのスペースを取得し、さまざまな家具を使用してインフォーマルなワークスペースに改装された。このスペースのデザインを完成させるため、VDLVはデュポン・ブルーアンにこのプロジェクトの統一的かつ構造的な要素であるテイスティングバーのデザインを依頼した。ダイニングエリア、ボトルのディスプレイモジュール、ワインボックス収納スペース、チェックルームを備え、それらすべてを限られた予算内で完成させた。
メルシエ・ホシェラガ・メゾンヌーブ地区グローバービルにあるスタジオは、まるでバカンスに来たような気分になるようデザインされている。ドアをくぐると壁に描かれたトロピカルなフレスコ画があり、居住性の高いワークステーションのレイアウトとなり、販売する高品質の製品に敬意を表し、洗練された華やかな家具を制作して設置されている。
デザインデュオはスタンディング・バーのようなビーチ・バーをイメージして、座席のないテイスティングカウンターをつくった。また柱の反対側には片持ちのカウンターと円形のフットレストがあり、バーがダイニングテーブルのようにもなるデザインとなっている。
バーの背後にはアクアカラーのシェルビングユニットに、ヴィンテージや新発売のワインディスプレイされており、ロゼワインのように滑らかなベルベットの大きなカーテンは収納スペースとチェックルームを上手くカモフラージュしている。機能的かつエレガントなこのエレメントは熱帯ジャングルの豊かな植生を思わせるグリーンの色調で、バーと調和している。これらの家具は、将来の引っ越しを想定して簡単に取り外しが可能となっている。
ヴァン・ダン・レ・ヴォワールのために特別に制作されたタペストリーは、アーティスト オーロラ・ダニエルの作品で、気まぐれでエキゾチックな宇宙が描かれている。鮮やかでナチュラルなワインをイメージしたこの壁画は、バーのカラースキームから着想を得て、パンチの効いたフレッシュなアクセントを添えている。VDLVの空間を代表するインテリアデザインとして、デュポン・ブルーアンの提案は、豊かな言葉をシンプルに表現しながらも、堂々と内装に溶け込み、ワインのローブのように波が踊る美しさを彷彿とさせ、外は雪であるにもかかわらず、海の音が聞こえてきそうなほどの空間となっている。
デュポン・ブルーアンについて
デュポン・ブルーアンはモントリオールを拠点とする建築・デザイン事務所で、マリー=ジョゼ・デュポンとオリヴィエ・ブルーアンという、陰と陽、尺度と展開、冷と熱、眼と眼を補う2人の建築家の連合によって設立された。建築はもちろん、自然を愛する建築家たちはピュアなライン、正確なディテール、整理され統合されたシステムを高く評価している。カスタムメイドのプロジェクトを得意とし、ディテールのひとつひとつを丁寧に考え、耐久性に優れた素材を選び、それぞれの色を組み合わせることで、調和のとれたインテリアと特別な空間を生み出している。