カナダ王立建築家協会RAIC 2021 建築事務所アワードを木造建築で名高いMicheal Green Architectureが受賞
カナダ王立建築家協会(RAIC)は、1907年の創立以来、100年以上にわたりカナダの建築業界を牽引してきた非営利の協会。RAICが主催するアワード、RAIC Architectural Firm Award 2021において、バンクーバーに拠点を置くMicheal Green Architecture (MGA)が受賞を果たした。Architectural Firm Awardは、革新的で質の高い作品の創出と、サービスの提供、人材育成や教育・専門機関への貢献など、多方面で建築業界をリードする活動が認められた事務所に与えられるアワードである。
MGAは、カナダ国内の権威ある賞を数々受賞しており、その高度な木造建築による、サステイナブルでカーボンニュートラルなアプローチが、国内のみならず国際的にも評価されている。木造建築の提唱者であり、研究者でもある、マイケル・グリーンによって2012年に設立。グリーンは、今や木造建築を語る際に欠かせない「マスティンバー」という言葉の生みの親でもある。2012年のレポート「The Case for Tall Wood Buildings」や2013年のTEDトーク「Why We Should Build Wooden Skyscrapers」などでグリーンが推し進める、木造高層建築やマスティンバー研究の成果は、当事務所の活動に大きく表れている。2018年、建築工学専攻のナタリー・テレウィアクを最高責任者に据えたことで、マテリアル理論に基づいたアプローチが可能となった。MGAは、建築の計画から完成までを、ランドスケープやインテリアデザインも盛り込んで提供。あらゆる方面のクライアント向けに多様なプロジェクトに取り組み、その経験を次に活かすことで、バラエティに富んだソリューションを提供し続けている。さらに、MGAは、地域社会を巻き込みながら気候変動に対応する手法を取っており、既存の建物を環境に配慮した高性能な建物に生まれ変わらせ、活力を与えるリノベーションにも長けている。
審査員コメント
最先端の木造建築を生み出し続けるMGAの受賞は当然である。非常に高いパフォーマンスと審美性を同時に実現させる、計算しつくされたデザインは素晴らしい。同事務所が生み出した数多くの木造建築からは、革新とサステイナビリティへの強い情熱を感じる。毎年、デザインビルドスタジオにて、若手建築家が実際の設計などに触れられる機会を設けるなどの活動も、高く評価したい。専心的なマテリアル研究と技術追求が導いた素晴らしい成果は、同事務所のサステイナビリティへの深い献身が生んだものである。これらの活動により、MGAは、今や国際舞台において、カナダ建築を代表する事務所となったのである。
審査員一覧
- Susan Ruptash, FRAIC(Fellow of the RAIC), BDP Quadrangle, Toronto, ON
- André Perrotte, FIRAC, Saucier+Perrotte Architecte, Montreal, QC
- Drew Adams, MRAIC, LGA Architectural Partners Ltd., Toronto, ON
- Marie-Odile Marceau, FIRAC, McFarland Marceau Architects Ltd. , Vancouver, BC
- Susan Fitzgerald, FRAIC, Fowler Bauld & Mitchell Ltd., Halifax, NS