MIID REKAアワード2025のADF賞受賞作品
マレーシアのインテリアデザイン業界の代表団体であるマレーシア・インテリアデザイナー協会(MIID)が「MIID REKA Awards 2025」の受賞者を発表しました。青山デザインフォーラム(ADF)は、2018年からコーポレートパートナーとして本アワードをサポートしています。今年ADF Awardを受賞したのは、マレーシア・クアラルンプールのバタン・カリにある邸宅「The House On The Peak」が受賞しました。
「The House On The Peak」は、バタン・カリにある約50エーカーの敷地の中で最も高い地点、ゲンティン・ハイランドの麓に建つ、延床面積約11,000平方フィートの住宅です。なだらかに広がる緑に囲まれ、360度のパノラマビューを誇るこの住まいは、風景を支配する存在ではなく、自然の中に溶け込む人間的なスケールの建築として構想されています。
標高の高い立地条件により、強風と高さ制限が設計上の大きな制約となりました。そのため、建物は二層構成とし、斜面に抱かれるように配置されることで、周囲の自然と一体化しています。本計画は、施主の自然への深い敬意を反映し、記念碑的な表現よりも、調和・快適性・節度を重視しています。主屋は、ゲストハウスやスタッフ棟を含むレジデンシャルコンプレックスの一部として計画され、広大な敷地の中でも親密な住環境を保っています。

Here, nothing is meant to feel cohesive—the patterned floor, angled brass fireplace, and irregular timber ceiling each assert their own presence, all anchored by the bronze crystal chandeliers. The ceiling, shaped directly by the roof's awkward geometry, is left unapologetically raw to heighten visual tension and drama.
建築および空間コンセプトは、イギリスのカントリーエステートに着想を得ながら、現代的な視点で再解釈されています。その影響はインテリアにも及び、クラシックな参照要素とミニマルなライン、そして抑制された表現力豊かなディテールが融合しています。広大な空と谷の風景に応えるため、室内は視覚的に軽やかに設計され、ランドスケープが持つ情緒が内側へと引き込まれています。

The feature cabinet details echo the curvature of the windows through a play of circles, while its design
language reflects the barrel-vault ceiling of the adjoining living and dining areas—creating a seamless visual journey of form, materiality and light.
住宅は四方にフルハイトの窓を備え、トップライトを随所に配置することで、自然光と壮大な眺望を最大限に取り込み、重厚な壁への依存を最小限に抑えています。その結果、建築的な焦点は天井と床へと移り、彫刻的なフォルムと洗練されたディテールが空間の個性を形づくっています。急勾配の屋根を活かした高く伸びやかな天井は、「空を室内へ取り込む」という設計意図を強く体現しています。各天井は異なる表情を持ちながらも、壁や床の仕上げを統一することで、全体としての連続性が保たれています。

The long, narrow living and dining area is unified by a barrel-vault ceiling with dramatic timber beams, its axis culminating in uninterrupted of the sky beyond.
住まいへのアプローチは、緻密に演出された空間体験として構成されています。エントリーホワイエは、あえて圧縮された、ドラマ性の高い空間として設計され、大胆な素材、色彩、彫刻的要素によって強い印象を与えます。この緊張感のある導入が、先に広がるリビング、ダイニング、キッチンの開放感をより際立たせる、「圧縮と解放」という建築的体験を生み出しています。

The dry kitchen is conceived as a
showpiece—embossed brass
panels and bronze glass with brass
pulls add richness, anchored by
dark-stained timber stools that echo the dining furniture.
敷地条件により細長いプロポーションとなったリビング・ダイニングは、その形状を隠すことなく、木梁を伴うバレルヴォールト天井によって統一され、大胆なペンダント照明が空間のリズムとスケール感を強調します。キッチンもまた演出的な空間として設計され、ドライキッチンは見せ場となり、ウェットキッチンは敷地内でも特に壮大な眺望へと開かれています。

The sun's rays become the main character, while the interior serves as a blank canvas—each passing hour painting a new story in light and shadow.
住宅の中心となるファミリーエリアでは、トップライトから差し込む光が主役となり、時間とともに変化する光と影が空間を生き生きと演出します。夜には星座を思わせる照明が現れ、下階のオフィス兼ラウンジは、アートやコレクションを楽しむための、ギャラリーのようにくつろいだ空間として機能します。
この住まいはイギリスのカントリーエステートの精神を、現代的な抑制と洗練をもって再構築したものです。開放性、光、空間の流れを重視し、すべての素材や色彩、ディテールは慎重に選び抜かれています。全体は穏やかな色調でまとめられ、太陽光を象徴するバーントオレンジがアクセントとして用いられています。太陽が空を移ろうにつれ、住まいは常に表情を変え、文字通り「空のためのキャンバス」として存在し続けます。

日本語
English




