Dezeenアワード2022 デザイン部門のカテゴリー賞11作品が発表
Dezeenアワード2022のデザイン部門の各カテゴリーの受賞作品が発表されました。今回も、日本、オランダ、ラトビア、オーストラリア、カナダなど世界中から作品の応募がありました。カテゴリー賞として選ばれた11作品は、2022年11月29日にロンドンで開催されるアワードイベントにて発表される、デザイン部門の最優秀賞をかけて競うことになります。青山デザインフォーラムは、今年もメディアパートナーとして本アワードをサポートしております。
デザイン賞 紹介
Furniture design of the year: Mother and Child by Adam and Arthur
デザインデュオのAdam and ArthurによるMother and Childは、藁の寄木技術を活用した家具です。湾曲したモノクロのキャビネットは、アートの歴史の中で繰り返しモチーフとなってきた、母と子のシルエットを模ったものです。伝統技術を現代的かつサステナブルな方法で表現した点が評価されました。
Seating design of the year: Lotte by Sarah Hossli Product Design
ドイツ・ルツェルンを拠点に活動するデザイナー Sarah Hossliは、高齢者が立ちあがりやすいよう人間工学をもとに設計された椅子Lotteをデザインしました。サーキュラーエコノミーを意識してデザインされたこの椅子は、簡単に分解することができ、それぞれの部品がリサイクル利用できます。エレガントな見た目の椅子、というだけでなく、厳密な調査のもと高齢化と共に人々が抱える問題を解決する機能的な側面も兼ね備えたデザインが高評価でした。
Lighting design of the year: High Profile by MVRDV
ロッテルダムの建築デザイン大手MVRDVがデザインしたのは、Delta Lightの廃棄アルミフレームを再利用したライティングコレクションHigh Profileです。ウォールランプ、キューブ状のペンダントランプ、フロアランプなどの形状で、色もピンク、黄、緑、青などバラエティに富んだラインナップを用意しています。廃材の効果的な再利用を提案し、なおかつあらゆるシチュエーションにマッチするランナップの広さが評価されました。
Architectural lighting design of the year: Illuminated River by Lifschutz Davidson Sandilands and Leo Villareal Studio
Illuminated Riverは、ロンドンのテムズ川にかかる9つの橋を照らすLEDインスタレーションです。アーティストのLoe Villarealと建築事務所Lifschutz Davidson Sandilandsのコラボレーションによってできた照明インスタレーションは、印象派とイギリスのロマン主義画家たちが描いてきた色を再現しています。テムズ川という、多くの人々が行き交い集う場所を舞台にしたインスタレーションは、大勢の日常を劇的に照らし感動を与えてくれます。
Homeware design of the year: Oku by Kathleen Reilly
スコットランドの金属工Kathleen ReillyによるナイフOkuは、伝統的な日本のテーブルウェアである箸置きにインスピレーションを受けたデザインです。直角に折れた持ち手により、皿やボードなどにナイフを置いた状態で自立させることができます。実用性と審美性を兼ね備えたデザインが高く評価されました。
Workplace design of the year: A Simple Machine by HeijltjesAkkaya
A Simple Machineは、ドイツのデザイン事務所HeijltjesAkkayaによる、調節可能なオフィス家具のコレクションです。手動で調整することにより、様々な姿勢で仕事をすることができます。エンジニアリングとマテリアルがありのまま表現されたファーニチャーで、一目で全ての機能がわかるデザインが高く評価されました。
Wearable design of the year: Tenuto 2 by MysteryVibe
ウェアラブルバイブレーターTenuto 2は、イギリスのセックストイ・メーカーのMystery Vibeによってデザインされました。従来のコックリングのように装着することで、必要な血流を促し勃起の維持を助けます。審査員は、「これはまさにテクノロジーとデザインの革新であり、このプロダクトを選ぶことで、性と健康について語ることが恥ずかしいことではないとの認識が広がることを期待しています」とコメントしています。
Product design of the year: Wheeliy 2.0 by Quantum
Wheeliy 2.0は、2016年東京に設立されたQuantumとMoltenのコラボレーションにより生まれた折り畳み式の車いすです。乗る人とサポートする人両方が使いやすいよう、軽量でシンプルな仕様となっています。4色展開で、車いすに馴染みのない方でもわかりやすい黄色の操作補助表示があり、持ち上げたり折り畳んだりなどの操作が視覚的にすぐ理解できます。複雑になりがちな車いすのデザインを、シンプルかつ機能的に仕上げたQuantumのエレガントなソリューションは、車いすをより身近なものにしてくれます。
Graphic design of the year: Typotheque North American Syllabics by Typotheque
ドイツの書体デザイン会社Typothequeは、カナダの先住民族コミュニティーのために、新しいデジタルフォントTypotheque North American Syllabicsを開発しました。先住民族が自分たちの言語でデジタルに文字を入力することを可能にするこの開発は、先住民族のオンライン上でのコミュニケーションを活性化し、その言語の継承に貢献します。ビジュアルコミュニケーションにおけるデザインの力を感じさせるこのプロジェクトは価値あるものとして選ばれました。
Exhibition design of the year: Weird Sensation Feels Good: The World of ASMR by Ēter
Weird Sensation Feels Goodは、様々な身体的感覚を刺激するコンテンツを展示し、来場者をASMRの世界へと誘います。提供される空間には、蛇行した枕に寝転がりながらASMRコンテンツを楽しんだり、インタラクティブなインスタレーションを体験することができます。Youtube世代に広がる現象を、物理的な体験型展示へと上手に転換しており、まさにデジタル体験の物理表現となっています。
Installation design of the year: Bending Arc Sculpture by Studio Echelman
フジツボのような形をしたメッシュの彫刻Bending Arc Sculptureは、Janet Echelmanによる常設のインスタレーションです。フロリダ州にある26エーカーのウォーターフロントに広がる公園に設置されています。緑の芝の上空にたなびく美しいアート作品は、人々をこのアウトドアの空間へと招き入れます。
さらに、ウェアラブルデザインのカテゴリーからは、医療用の搾乳機Elivie Strideが、審査員特別賞として選出されました。
Dezeen Awards 2022 の審査と今後のスケジュール
今回の受賞作品は、Dezeen Awardsの国際的な審査団によって決定されました。審査員には、Arrivalのチーフデザインオフィサー、Jeremy Offer、V&Aのコンテンポラリープログラムキュレーター、Meneeshaa Kellay、Bohnic StudioのLara Bohinc、London Craft Weekのプログラム・コンテンツ責任者Naomi Davenportなどデザイン業界のスペシャリスト25名が含まれています。すべてのカテゴリー賞受賞作品の中から、それぞれの部門の最優秀賞が選ばれます。部門の最優秀賞の発表は、2022年11月29日にロンドンで開催されるアワードイベントにて行われます。