北京に誕生した未来の教育基地

デロイトユニバーシティ・アジアパシフィック中国(DU AP China)は、アジア太平洋地域で初の独立キャンパスとなる。このプロジェクトのインテリアデザインは、北京を拠点とする建築デザイン事務所aoeが手掛け、コンセプトから実現までを一貫して監修した。設計には「未来の技術」「グリーン・サステナビリティ」「地域文化に根ざす」「元の産業遺構の記憶を洗練化」の4つのコアコンセプトが取り入れられている。

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The large lantern and the steps below form the HUB of the space.
Photo credit: Ray Xin

このキャンパスはデジタル技術と人間的要素を融合し、相互接続とコラボレーションを実現する「世界水準のグリーンで知的な未来型教育拠点」を目指して設計された。新しい学習習慣を促し、リーダーシップ開発を支援する空間となっている。

ウェルカミングスペース: 宇宙基地への入口

DU AP Chinaに足を踏み入れると、まるでSF映画に登場する宇宙ステーションにいるかのような感覚を味わえる。3階分の高さを持つロビー空間は、現代のテクノロジーと古典的なエレガンスを融合したデザインが特徴だ。大型スクリーンや「パーフェクトマッチ」と呼ばれるインスタレーションが設置され、中国的な要素を加えることで、モダンと伝統の調和を体現している。ロビー中央の大きなランタンとその下に設置された階段が空間の「HUB」として機能する。ダブルレイヤーの半透明ETFEフィルムで作られたランタンは、中国の伝統的な提灯を現代的に再解釈したものだ。木製の階段や色が変化するクッションが設置され、快適な休息やコミュニケーションの場を提供する。

学びの空間: 知識の宇宙を探る

ロビーから続く「マグネティックウォール」を通じて、12〜24人規模のグループで学ぶ40以上の独立した教室へアクセス可能。これらの教室では、グループディスカッションや協力活動を通じたインタラクティブな学習が行われる。さらに、「未来教室」と名付けられた独立したスペースは、没入型体験を目的とした設計で、ハイエンドのマルチメディア設備を備えている。

つながりの空間: 時間と空間の架け橋

アトリウムエリアではスカイウォークが各機能エリアをつないでおり、学習やコミュニケーションの場を提供する。グリーンウォールの一方には、大宴会場のホワイエがあり、未来技術と地域文化が衝突しながらも融合する空間となっている。内装はドラゴンスケール形状の照明や波模様の壁紙、カーペットが使われ、優雅で美しいデザインが際立つ。グリーンウォールのもう一方には、レストランとバーという2つのエネルギースポットがある。宇宙や星をテーマにしたレストランは文化的多様性と融合を象徴し、幻想的な宇宙空間を演出。一方、バーはサイバーパンクとSFスタイルを融合させたデザインが特徴となっている。

aoe

aoeは2016年に設立された北京拠点の建築デザイン事務所。「イベントのための建築」を理念に掲げ、建築、空間、ユーザーの関係性を探求することで、社会にポジティブな影響をもたらすデザインソリューションを提供。最新技術や素材、文化的要素を駆使したプロフェッショナルなアプローチで、プロジェクトの成功を最大化する設計を行っている。