建築的レイヤーと文化の継承

2026年春カペラホテルズ&リゾーツが手がける日本初のホテル「カペラ京都」が、京都・東山区宮川町に開業を控えている。その建築とインテリアのデザインコンセプトが公開された。建築を担当したのは、建築家・隈研吾が率いる隈研吾建築都市設計事務所。インテリアは、シンガポールのブリューイン デザイン オフィスが手がけた。

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フレンチブラッスリ- 個室

本計画の舞台は、建仁寺や宮川町歌舞練場にほど近く、かつて地域に親しまれた旧小学校の跡地である。カペラ京都はこの土地の記憶と文化を継承し、「知と文化の探訪の場」として再構築される。建築、素材、空間体験のすべてにおいて、京都という街が持つ多層的な魅力と現代的な感性を融合させている。

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建築家・隈研吾(© Designhouse)

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ブリューイン デザイン オフィス・ロバート チェン

静けさと発見が重なる建築的レイヤー

建築家・隈研吾は、京都の町並みと調和する低層構成を採用。京都特有の細い路地のスケール感やリズムに着目し、「静けさを大切にした」と語る。ホテルのアプローチには祇園の路地を思わせる曲線や水音、障子越しの光を織り込み、動線に「緩急」を与えている。圧縮と解放を繰り返す設計は、歩くたびに発見がある京都の街の魅力をホテル内部に再現している。中心には唐破風屋根を配した中庭を設け、地域に開かれた空間を形成。この屋根意匠は、寺院や歌舞練場の建築にも見られるもので、建築全体に象徴的な静謐さをもたらしている。中庭や地下アトリウムには水の要素を取り入れ、坪庭文化と自然への敬意を表現している。

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カペラ京都 中庭

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客室 カペラスイート

現代の町家としての空間構成

全89室の客室は、町家に特有の奥行きや「しきい」の構造を再解釈した設計で構成されている。内と外を段階的につなぐ空間は、移動そのものが体験となる。光の移ろいを計算した室内構成や、坪庭を望む石風呂など、視覚・触覚・聴覚を通じて京都らしさを五感で感じる空間が広がる。インテリアでは、漆、和紙、陶器、木材といった日本の伝統素材を用いながらも、ブリューイン デザイン オフィスがそれを現代的に再構成。「余白の美」「素材の知性」を重視したアプローチにより、控えめながらも詩的な空間が形成されている。

ホスピタリティが文化をつなぐ空間へ

館内には、32席のシグネチャーレストランをはじめ、和食レストラン、フレンチブラッスリ-などが整備されている。とくにシグネチャーレストランは、町家の「お茶屋」を思わせる構成で、カウンターとラウンジバーを併設。和食レストランでは、旧校舎の木材や照明を再利用し、京都の職人技を継承している。フレンチブラッスリ-では、パリのカフェ文化を京都の静けさと素材感で再構築。淡い木材、大理石、花のしつらえが織りなす空間は、詩的で洗練された雰囲気をまとっている。リビングルームには行灯のような光が灯り、ゲストが自然と集う場を創出する。

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シグネチャーレストラン

カペラ京都の統括総支配人ジョン ブランコは「すべてのデザインが『時間を緩やかにし、感性を研ぎ澄ませ、文化に浸る』ための舞台である」と述べ、ホテル全体が体験と物語を織りなす場であることを強調している。

CAPELLA KYOTO(カペラ京都)

2026年春に開業するカペラ京都は歴史ある宮川町に位置し、鴨川まで徒歩圏内、800年の歴史を誇る禅寺・建仁寺を正面に臨む、京都でも屈指の希少な立地を誇る。隈研吾建築都市設計事務所が手掛けた低層の造りの建築は、祇園の路地裏の趣を感じさせながらも、伝統的な意匠を現代的に再解釈し、京都の文化をより親密に感じられる空間へと昇華している。宮川町歌舞練場の再建に並行して建設された本ホテルでは、中庭に劇場建築の意匠である唐破風屋根を冠した屋外パフォーマンス空間を設け、小学校跡地に敬意を表し、大切に守られてきた桜の木を移植。89室の客室は、カペラの特徴である深くパーソナルな滞在を反映し、1200年の歴史を誇る京都の伝統に根ざしている。6つのスイートでは客室で楽しめる天然温泉を用意し、またアウリガスパでは、日本の伝統と現代的ウェルネスを融合させたプログラムを提供。シグネチャーレストラン、和食レストラン、フレンチブラッスリ-での美食体験に加え、館内の多彩な現代アートコレクションや文化体験を通じて、今も息づく地域の伝統を称える。