建築家・安藤忠雄×音楽家・細野晴臣によるトークイベントが大阪・こども本の森 中之島にて開催

大阪・こども本の森 中之島が主催する、建築家 安藤忠雄と音楽家 細野晴臣によるトークイベント『第2回 セッション・イン・ザ・フォレスト「安藤忠雄×細野晴臣 こどもたちに伝えたいこと」』が、2021年11月8日に行われた。さまざまな職業に就く大人たちが、本のこと・仕事のこと・生き方のことなどを子どもたちに伝えるイベント「セッション・イン・ザ・フォレスト」の第1回は、絵本作家・はたこうしろうを迎え昨年10月に開催。第2回目となる今回は、数々の秀逸な建築物の設計を手掛け世界的に知られる安藤忠雄、デビューから50年を超えた今、改めてその評価が国内外で高まる細野晴臣と、異なるジャンルの最前線を歩み続ける2人による対談が実現した。この日のイベントの模様は、11月14日(日)17:00よりFM COCOLO「Whole Earth RADIO」でオンエアされる。

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安藤忠雄(左)・細野晴臣(右)


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安藤により設計・寄付された同館の中央に位置する大階段に腰掛けた親子連れ70名を前に、両氏は初対面ながらざっくばらんなトークを展開。まずは安藤が携わってきた大阪の建築物を振り返り、「大阪人として、この辺りは全部自分の敷地だと思ってやろうと(笑)」と随所にユーモアを交えて話せば、「この辺の景観は都市の理想的な姿だと思ってさっき歩いてたんだけど、東京は巨大なビルばっかりなんですよ。ここは空間が生かされていて、古い建物もあって、公園的でもあるしカフェもある。大好きな場所ですね。こういうところが東京にもあれば、もうちょっとのんびり暮らせるんじゃないかな」と細野。adf-web-magazine-tadao-ando-haruomi-hosono-4

話は建築と音楽の関係性にも及び、「ウィーンの街を歩いてると音楽が聴こえてくるような感じがして非常に好きなので、大阪にもそういうところがあれば」という安藤に、「建築と音楽って、構造があって、数学もちょっと使うし、そこにイマジネーションを乗せていく。近いところを感じます」と細野は共鳴。対談中にも自由に声を上げる子どもたちに優しいまなざしと言葉を送りながら、続けて安藤は「建築はこだわりが視覚で見えるものだけど、心にはあんまり残らない。子どもの頃に音楽を聴いてもらえれば、それがずーっと心に残るんです。ものすごく大事な感性を磨くと思う」と持論を述べた。adf-web-magazine-tadao-ando-haruomi-hosono-3

自身が子どもの頃、実家の改築の際に夢中で作業する大工の姿を見て建築家を志したと回顧し、「工夫に工夫を重ねて、うまくいかなかったらまた工夫して、出来上がったら自分で納得する。そういう姿を見て、依頼者なんか気にしてたらあかんなと。自分に都合の悪いことは聞かんようにして、無事に50年やってこれました(笑)」と安藤が語ると、「音楽も一緒ですよ。無理難題を言われたら聞かないフリをする(笑)」と細野が返すなど、会場は終始和気あいあいとした雰囲気だった。adf-web-magazine-tadao-ando-haruomi-hosono-5

最後に、幼少期から芸術に触れる尊さを安藤が説き、その流れで「ぜひここでも気楽に音楽をやってくれる人がいれば」と細野がつぶやき、「いい音がしそうな構造ですよ。ぜひやらせてください」と手を挙げ、会場からは大きな拍手が沸き起こった。こうして、匠たちの温かなメッセージに心打たれる充実の1時間が幕を閉じた。adf-web-magazine-tadao-ando-haruomi-hosono-2

今後の細野晴臣は、11月12日(金)より、2019年にアメリカで行った初のソロライブなど貴重な映像をまとめたドキュメンタリー映画『SAYONARA AMERICA』が全国公開されるのに加え、2019年に東京で開催され大好評を博したデビュー50周年記念展が、装いも新たに『細野観光1969-2021』として、グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボでスタートする。adf-web-magazine-tadao-ando-haruomi-hosono-8

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