八ヶ岳南麓の自然とGASBONの建築空間の中で展開される久保寛子の世界

久保寛子による個展「赤土」が、GASBON METABOLISMで2026年6月21日(日)から10月5日(月)まで開催される。久保は、先史芸術や民族・民俗芸術、文化人類学などのリサーチをもとに、ワイヤーメッシュや農業用シートなど身近な資材を用いて作品を制作するアーティスト。神話や自然の脅威、周縁化されてきた女性の表象などの題材を、現代的な視点をもって問い直す彫刻作品で知られている。

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2026年4月から福井・金津創作の森美術館で開催されている個展「青の太陽 緑の月」では、昨年滞在したメキシコで得た“太陽”と“月”のイメージを起点に、久保が継続的に探求してきた“農耕”と“工業”、そして農業や工業の現場で使用されるプラスチック製品の色である“青”と“緑”といった対比を通して、それらのあいだに存在する関係性を浮かび上がらせた。本展ではそれら作品群をベースに、GASBON周辺の土地へのリサーチと、本展のタイトルでもある「赤土」というテーマを軸に、新たな構成で展示される。GASBONの広大な空間に、久保寛子による大型彫刻やインスタレーション作品が展開され、鑑賞者の身体感覚を巻き込みながら、空間全体をひとつの体験へと変えていく。

会期前日の6月20日(土)には、本展出品作品のひとつ《ハイヌウェレの彫像》の制作を体験できるワークショップが開催される。申し込みフォームから事前予約制で誰でも参加できる。

アーティスト・ステートメント

初めてGASBON METABOLISMを訪れた後、諏訪大社へ向かった。帰路に立ち寄った釈迦堂遺跡博物館では、縄文土器や土偶に触れ、八ヶ岳山麓文化の圧倒的な土着性に心が震えた。

同じ年に滞在したメキシコでは、アステカ文明の遺物に現れる渦巻きや蛇、女性像、半人半獣の神々に出会った。それらは縄文の造形や日本神話の八百万の神々を思わせ、遠く離れた文化のあいだに不思議な共鳴を感じさせた。

オアハカ州でのレジデンス生活では、現地の粘土に触れるなかで、鳥や花、人と動物が交錯するイメージが生まれた。それらは日本の生活の中では作ることのできない、土地との身体的な関わりから生まれた造形であった。

三年前に移住した千葉県旭市で、私は「カベト」と呼ばれる赤土に出会った。鉄分を多く含み、焼成によって鮮やかな赤へと変化するその土は、どこかオアハカの土を思わせる。

縄文の女神、ハイヌウェレ、鹿の頭、アステカの供犠。文明と文明、地層と地層、表象と表象のつながりを想像してみる。

赤は、土の色であり、鉄の色であり、血の色である。

久保寛子

久保寛子

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1987年広島県生まれ。千葉県旭市拠点。テキサスクリスチャン大学美術修士課程修了。

先史芸術や民族・民俗芸術、文化人類学などにまつわる学説のリサーチをベースに、ワイヤーメッシュや農業用シート、防風ネットなどの工業製品を用いて彫刻作品を制作している。自然の脅威や遺物の破壊と再生、周縁化されてきた女性の表象などをテーマに、神話や祈りがかたちをなす偶像や、人々の暮らしの中から生まれた実用品に宿る美について、久保は作品を通じて現代的な視点から再考を促す。Casa Wabiレジデンスアーティスト(2025年)、広島文化新人賞(2022年)、六甲ミーツ・アート公募大賞(2017年)受賞。KAMU KANAZAWA(石川)、おおさか創造千島財団(大阪)、株式会社 IZAK(富山)などに大型作品が収蔵されている。2017年より広島で「オルタナティブスペース コア」を運営している。

久保寛子個展 「赤土」開催概要

会期第一期:2026年6月21日(日)~8月24日(月)
第二期:2026年8月28日(金)~10月5日(月)
時間11:00~17:00 (火・水・木曜休館)
会場GASBON METABOLISM
URLhttps://tinyurl.com/3hwurwjx