石の声に耳を澄ますモザイク表現の新たな地平

ポーラ美術館ではHIRAKU Project Vol.17 ヤマダカズキ「地に木霊す」を2025年12月13日から2026年5月31日まで開催する。本展はポーラ美術振興財団の助成を受けた作家を紹介するシリーズ「HIRAKU Project」の第17回目にあたる。

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《阿蘇に降る霜》制作風景、2022年
Frost falling in Aso
2022
(production view)

ヤマダカズキは、細かく砕いた石やタイル、ズマルトなどを用いて画面を構成する伝統的なモザイク技法をベースに、地域に伝わる民話や神話、伝承を題材に作品を制作する作家である。油彩画のような陰影や精緻な描写を持たないモザイクだからこそ生まれる“解像度の低さ”に注目し、曖昧で、掴みどころのない語りの余白を美術として提示している。

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《阿蘇に降る霜》2022年
石、セメントモルタル、阿蘇火山灰
162.0cm×130.3cm
Frost Falling on Aso
2022
Stone, cement mortar, volcanic ash from Mount Aso
162.0cm×130.3cm

展覧会タイトルにある「木霊」とは、山に響く精霊の声を意味する。石を割るという反復行為を、山中にこだまする声になぞらえたヤマダの作品群は、技術の明瞭さや再現性が求められる現代において、曖昧さや不可視の世界へのまなざしを取り戻す契機となる。

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《箱根山の天邪鬼》2025年
石、セラミックタイル、ズマルト、セメントモルタル
116.7cm×91.0cm
The Amanojaku of Mount Hakone
2025
Stone, ceramic tile, smalt, cement mortar
116.7cm×91.0cm

会場では、これまでの代表作に加え、箱根の土地に伝わる伝承をもとにした新作《箱根山の天邪鬼》を発表。本展では、箱根にまつわる伝承を題材とした過去最大規模の新作モザイク作品が披露される。会場では、これまでの代表作とともに構成される。

ヤマダカズキ

1995年熊本県生まれ。東京藝術大学でモザイク技法を学び、イタリア・ラヴェンナでの在外研修を経て、現在は日本各地の民話や伝承をテーマに活動を続けている。近年は、石の耐久性を活かして“土地の記憶”をモザイクとして記録・継承する手法を探究しており、2025年に開催された個展『石のカタリベ』(ギャラリーマルヒ)では、地域に伝わる民話や伝承をモザイクで描き出す作風が注目された。

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ヤマダカズキ
撮影:小沢朋範
Yamadakazuki
Photo: Tomonori OZAWA

HIRAKU Project Vol.17 ヤマダカズキ「地に木霊す」開催概要

会期2025年12月13日(土)から2026年5月31日(日)まで
会場ポーラ美術館 1F アトリウム ギャラリー
URLhttps://tinyurl.com/3pyt8wjt