無数の球体の群と光、音による壮大な光のインスタレーション
照明アーティスト 松尾高弘(ルーセントデザイン代表)によるインスタレーション作品「The Creation」が、LIT Lighting Design Awards 2024でエンターテインメント照明デザイン部門最優秀賞 「Design of the Year」を受賞した。
「The Creation」
本作品は光、形、音を特徴とし、「Birth(誕生)」「Shine(輝き)」「Voltex(渦)」の3つのシーンで構成されている。強烈な光の集積が生み出すダイナミックな現象は「宇宙と自然」の起源を想起させると同時に、人工的な構造物を築きあげてきた「人間」の豊かな創造性をも表現。このユニークな空間芸術は、光とオブジェによって視覚化されている。
デザインは当初、コンピューター・グラフィックスと物理シミュレーションを駆使して、銀河のようなドットの密度を作り上げることから始まった。3D座標位置に沿って、透明と半透明の大小さまざまなアクリル球体約2万個が配置された。球体を取り囲む12個のプロジェクション・ユニットは、多数の光のクラスターを発生させ、明滅しながら激しく変形し、時には巨大な光のフォーメーションに合体する。
球体同士を極細のワイヤーで固定する構造で、ワイヤーが落とす影を最小限に抑えている。ケーブルのないこの構造は、圧倒的な光の浮遊感を与える。さらに、全方向から映像を投影することで、LEDやレーザー投影では得られない質感、色のグラデーション、シームレスな光の揺らぎを実現している。
本作品は中国蘇州の現代美術館Ui ART Centerの常設作品として展示されている。
松尾高弘
1979年生まれ、福岡県出身。九州芸術工科大学大学院修了。ルーセントデザイン代表、アーティスト・EMISSIONディレクター。
映像、照明、音楽、オブジェクト、インタラクションによる光のインスタレーションを中心に、美的表現による多彩な空間やテクノロジーによるアートワークを一貫して制作。自然界の現象と法則性、イマジネーションによる繊細な光の表現とエモーショナルな作品群によって、都市や商空間のパブリックアート、世界各国のエキシビション、ラグジュアリーブランドとのコラボレーションなど、国際的に活動している。世界18カ国以上でのアート展示やパーマネントワーク、ライティングインスタレーション、インタラクティブアート、プロジェクションアートなど、クリエイティブな光の空間を数多く手がける。