地域課題の創造的解決を目指して
コクヨはスマイルズが運営するブランド「PASS THE BATON」と新たにアライアンスを締結した。プロジェクト名を「バトンのヨコク」とし、プラットフォーム事業・プロデュース・コンサルティング事業において地域課題の解決に向けての伴走体制を創る。2021年よりプラットフォーム事業である「PASS THE BATON MARKET」を共催してきた2社がそれぞれの強みを生かし、中小企業や地方自治体の「お困りごと」を、実業知とネットワーク、仕組みづくりで創造的解決を目指す。
アライアンス締結の背景
コクヨとスマイルズは、2021年より企業のB品・D品といった規格外品や眠っていた在庫を想いとともに生活者に届けていくプラットフォーム事業として、「PASS THE BATON MARKET」を共催してきた。これまでの開催でこのコンセプトに共感した約200社が参画、Vol.10までで約35,500名の来場者が訪れるなど、プラットフォームとしての成長を続けている。この事業を起点に「共感経済」の重視や「実験的場づくり」への積極性など共通する価値観を持ち続けてきたコクヨとスマイルズは、より一歩進んだ取り組みができないかとディスカッションを重ねてきた。
アライアンス締結の目的
地域が抱える課題をユニークでクリエイティブな方法で解決
地域特有の社会課題に対して地域の産業を中心に活性化させることを主眼に置き、コクヨとスマイルズがアライアンスを締結することで、両社ノウハウの相乗効果からユニークな解決方法をアジャイル型プロジェクトで見出す。このアライアンスを通じて「ワクワクするような地域の未来をヨコクする」ことで、コクヨのパーパスである「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする」の実現に取り組んでいく。
「バトンのヨコク」の由来
「バトン」はスマイルズの「PASS THE BATON」事業を連想させるものでもあり、「PASS THE BATON MARKET」を共催してきた2社のアライアンスを示すものでもある。「ヨコク」はコクヨのパーパスである「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする」から引用し、2社がともに「ワクワクする未来のヨコクをする」という意味合いもある。そして明るい未来をヨコクするため、コクヨとスマイルズが地域課題の解決に関わる方々の伴走者となり、想いのバトンをつないでいきたいという思いもあり、最終的に「バトンのヨコク」というユニット名に至った。
2社による取り組みの内容
本プロジェクトの伴走支援先として想定するのは、「地域課題」の解決を目指す企業や自治体。特にものづくり、産業の振興、文化醸成、コミュニティづくり、新規事業創出などのテーマに取り組む。ものづくり企業としての基盤を持ちながら包括的な提案を得意とするコクヨと、生活者視点を取り入れたユニークな事業開発を得意とするスマイルズの2社が、都市や郊外も含め各地域の自治体や事業者の悩みや課題をヒアリングし、プロジェクトスキームとチームを組み立てて伴走支援。伴走手段としてはプロデュース、コンサルティング、事業構想、空間づくり、製品開発、販売戦略、コミュニケーションデザインなど多岐にわたる。
それぞれの地域課題解決の実績
PASS THE BATON × コクヨの実績
2019年にPASS THE BATONが始めた、企業やブランドの倉庫に眠っていた規格外品やデッドストックアイテム、また伝統工芸などの文化に光を当てる⼀⾵変わった蚤の市。2021年からはコクヨが共催として参加し、THE CAMPUSで定期開催中。これまでに延べ約200社が参画、約35,500名が来場。2021年、循環型経済をデザインするグローバル・アワードcrQlr Awards受賞。
コクヨの実績
コクヨが神山まるごと高専の授業を担当する「プログラムパートナー」に決定。ワークショップなどの実践的な学びの提供を通じて循環型社会を推進。コクヨのマテリアリティの1つとして掲げている「循環型社会への貢献」に向けた活動やこれまでのものづくりの経験をもとに企画した授業科目「循環型プロダクトワークショップ」が神山まるごと高専の4年後期のカリキュラムに採択された。
戸越のコクヨ社員寮をリノベーションして、“プロトタイプする暮らし”をコンセプトに据えた賃貸住宅「THE CAMPUS FLATS Togoshi」を2023年7月にオープンする。居室とは別にキッチンスタジオや手作り商品を販売できるポップアップスペースを設けるなど、品川オフィス「THE CAMPUS」の新展開として、住みながら、いつかやってみたかったことを試せる集合住宅となることを目指す。
PASS THE BATON、スマイルズ社の実績
福島県商工会連合会の福島美味“通信販売”事業としてECサイトのプロデュースを手掛けた。ECサイト「シオクリビト」は、便利にモノを買える通販でなく、顔の見えるあの人から品物が届くような体温を感じる通販を目指している。サイト内では総勢80名の福島の生産者たちの幼少期の思い出や青春時代など、一人当たり20ほどあるエピソードを見ることなしに、商品ページにたどり着けない情緒的ECサイトで、2022年グッドデザイン賞受賞。
2017年より江東ブランド推進事業の全体プロデュースをスマイルズが担当。区内の優れた製品・技術により革新的に事業展開の道を切り開いている企業を「江東ブランド」として認定し、さまざまなPR活動を通じて、広く認知してもらうとともに、企業と江東区がともにイメージアップを図ることを目的としている。「ものづくり団地」というコンセプトのもとに、近くて・早くて・何でもできるモノヅクリの町として江東区をブランディング。展示会出展のディレクション、WEBサイト制作、冊子制作なども手掛けている。
コクヨ
コクヨは、文具や事務用品を製造・販売する「ステーショナリー事業」、オフィス家具などの提供からオフィス空間の設計・構築、働き方改革コンサルティングまでを手掛ける「ファニチャー事業」、オフィス用品の通販サイト「カウネット」の運営とインテリア・生活雑貨の販売を行う「通販・小売事業」を軸にビジネスを展開。2021年11月に、第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」を発表し、「長期ビジョンCCC2030」の達成に向け、「働く」「学ぶ・暮らす」の領域で、文具や家具だけにとらわれない、豊かな生き方を創造する企業「WORK & LIFE STYLE Company」になることを目指す。
スマイルズ
スマイルズは、スープ専門店「Soup Stock Tokyo」をはじめの事業として、実業とプロデュース・コンサルティングを行う会社。ネクタイ専門店「giraffe」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、ニューサイクルコモンズ「PASS THE BATON」など、既成概念や業界の枠にとらわれず、新しい生活の在り方を提案する事業を自らつくってきた。近年では価値のコンサルティング・プロデュースファーム「Smiles: PROJECT & COMPANY」として、自らの実業知を生かしながら、事業開発からデザイン・PR・オペレーションコーディネート・空間デザイン、WEB構築に至るすべての機能を持ち、"N=1"の経験と感性を発意にすることで”なかった価値”を生み出している。