ポーラ美術館コレクション3点目となるリヒターの代表作

ポーラ美術館がゲルハルト・リヒター(1932-)による近年の代表作から、《ストリップ (926-3)》を新しく収蔵し、2023年12月13日(水)よりコレクション展で公開する。今回のリヒターによる作品の新収蔵は、2021年に収蔵した《グレイ・ハウス》、《抽象絵画(649-2)》に続くものであり、これらにデジタル技術を駆使したシリーズとして知られる「ストリップ」のなかの作品が新たに加わったことに伴い、ポーラ美術館の収蔵するリヒター作品3点が公開される。

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ゲルハルト・リヒター《ストリップ (926-3)》2012年
デジタルプリント、アルディボンド、アクリル(ディアセック) 110.0×250.0 cm ポーラ美術館
© Gerhard Richter 2023 (05092023)

新収蔵作品について

《ストリップ(926-3)》は、2011年から始められた同名のシリーズのなかに含まれる作品。すべての「ストリップ」シリーズは、《抽象絵画(724-4)》(1990年、個人蔵)に由来している。

この作品をスキャンしたデジタルデータを縦方向に二等分して、分割したそれぞれのイメージをさらに同じ方向に二等分する、といったかたちで縦方向の分割を計12回繰り返すと、画像は細分化されて、およそ0.3 mmほどの横幅しかない4,096本の極細の細片(ストリップ)にまで変換される。それぞれの細片には目視では確認ができないほどの微細な粒子、すなわち画素のレベルまで分解された、さまざまな色彩が含まれる。その後、いくつかの段階を経て、これらのデータを再統合した結果としてリヒターが生み出したのは、数えきれないほどの細片が折り重なるストライプの広がりであった。

「抽象絵画」シリーズでの取り組みを彷彿とさせる「ストリップ」シリーズの作品は、半世紀以上にわたる画歴を通じて、絵画の新たな可能性を問い続けてきたリヒターが到達した表現として高く評価されている。

ゲルハルト・リヒター

1932年生まれ。現代美術界で世界的な評価を受ける作家のひとり。彼の作品のスタイルは多岐にわたるが、一貫して観ることにこだわり、「シャイン」(ドイツ語で「光、仮象」の意)を現出させる独自の表現を切り拓いている。

「ポーラ美術館コレクション選:ゲルハルト・リヒター」開催概要

会期2023年12月13日(水)~2024年5月19日(日)
時間9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日会期中無休
会場ポーラ美術館 展示室4
URLhttps://www.polamuseum.or.jp/