ヴィーヴ建築祭2024に現れた、リズムを生み出すインスタレーション「人」

2006年以来フランスのモンペリエで開催されている「ヴィーヴ建築祭」は、モンペリエの建築の宝庫である歴史的な個人の邸宅を現代建築のインスタレーションで変貌させ、一般の人々に没入型探検の形で提供する催しとして知られている。今年も2024年6月11日から16日まで「リズム」をテーマに開催され、アルバロ・ゴンザレス・セラノ & ジェニファー・アルバラード・フィゲロアは、動きとリズムの起源、芸術と美の創造体としてのインスタレーション「人」を展示した。

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Photo credit: ©photoarchitecture.com

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そのオブジェは中庭のなかにリズムを生み出し、辺りを舞台へと変貌させるファサード(幕)となり、中庭を囲む人々の動きや関わり方がパフォーマンスそのものとなった。

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Photo credit: Álvaro González Serrano

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Photo credit: Álvaro González Serrano

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Photo credit: Álvaro González Serrano

光り輝くファサードは通行人を誘い、それまで異質だった空間に足を踏み入れさせ、赤い絨毯を渡ってアクションの中心へと導く。周囲の環境を反映するしなやかでリズミカルなパターンを通して、コンテクストへのアプローチを演出、そのパティオを舞台に変えた。来場者はそこでパフォーマンスをしたり、ダンスをしたり、さまざまな角度から撮影をして楽しんでいた。生きている動物のものであるかもしれない鱗のような、風とともに動く光のピースが、オブジェと投影されるものにさまざまな視覚効果を生み出す。背景を映し出し、歴史を浮き彫りにし、パフォーマティブな空間を生み出している。

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Photo credit: Álvaro González Serrano

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本プロジェクトは完全にデジタル製造技術で行われ、手作業で組み立てられた。この構造は、新しい形状、新しい素材、無限の構成、CO2排出量を削減するための利用可能な資源の最適化など、これまで不可能だった方法で建築を生産するために、実際のテクノロジーをどのように利用できるかを考える機会となっている。このオブジェ「人」は鏡面仕上げのレーザーカットされた572個の動くアクリルピースで構成されている。これらのピースは、風の影響を受けて自由に動くように、リサイクルPLAで3Dプリントされた572個のピースを使って、ユーカリのCNC形状の木製のメイン構造体に接合されている。これらのピースは、プロジェクトのメインスポンサーであるマドリッド欧州大学の設備で製作された。

アルバロ・ゴンザレス・セラノ & ジェニファー・アルバラード・フィゲロア

アルバロ・ゴンサレス・セラーノ(González Serrano Studio+、スペイン・マドリード)とジェニーファー・アルバラド・フィゲロア(J-AF Architecture、スペイン・パンプローナ)という2人の若手建築家のコラボレーションから生まれたチーム。両者とも持続可能なアプローチで、生態系に配慮した繊細な介入を行いながら、視覚的、喚起的、直接的、機能的に大きなインパクトを与え、伝統的な建築の知識と新しいデジタル製造技術を導入している。