生物と建築の接点を探ることを提案する
菌糸体は様々な環境とその要求に適応して生き残るための驚異的な能力を持っており、生きた根のような構造で時には数千エーカーを覆うこともある。このインスタレーションでは、このような生物から、建築の言語や技術を未来に適応させるための考察、視覚化、学習を行うことを目的としてスタジオ・リンク・アークによってデザインされた。
建築という手法を使い、建築とほとんど知られていない生態系との関係を探る。その目的は、境界をなくし両領域の共生、あるいはコラボレーションを生み出すことにある。逆ピラミッド型の形状は伝統的な見方を覆し、第二の性質、二重機能、二重目的、人工と自然、現在と未来、そして最後に成長と衰退の存在を示し、アンチシンボルでもあるシンボルである。
このインスタレーションは、再生可能で生物分解可能な素材であるキノコのレンガを400個吊り下げて構成。レンガは製造されるのではなく栽培されるもので、業廃棄物のワラ、バガス、小麦ふすまを基質として、菌糸が自然に成長しやがて固まる。その結果、構造的な強度と可塑性を備えた素材ができあがり、適切な温度と湿度であれば、どんな形にも育てることができる。建材として使用した後は、土の中で数ヶ月間放置することで完全に分解されるため、環境に負担をかけることもない。
展示は古いビール工場を改装したもので、連続したコンクリートフレームに挟まれたギャラリースペースで行われる。屋内外の空間は、きのこのレンガが空気中の水分を吸収するのに最適な場所となり、インスタレーションの下にはプールが作られ、湿った微気候を提供する。菌糸は製造工程で不活性化されるため、それを補うために新鮮なキノコが後から生えるようなレンガをいくつか選んだ。このインスタレーションは、持続可能なエコロジーサイクルの一部となり、生物として成長・進化する人工的な装置となることへの期待が込められている。
スタジオ・リンク・アーク
ニューヨークを拠点とするスタジオ・リンク・アーク LLCは、建築家・デザイナーからなる国際的なチーム。事務所名である「リンク・アーク」は、この事務所の共同作業の性質と都市計画、建築、空間芸術、ランドスケープの分野で、分野を超えて戦略やデザインを創造することを使命としていることを表している。リンク・アークは多角的な視点と多様な背景から得られる知識、リソース、インテリジェンスを結びつけることでそれを実現。作品にはあらゆるスケールの革新的なプロジェクトが含まれている。建築とコンテクストの関係を新しいコンテクスト、新しい自然、そして世界の新しい理解を生み出す機会として捉えている。また、リサーチを通じてそれぞれのプロジェクトに固有の本質的な真実を明らかにし、その真実をもとにコンセプトを作り、形を整えていく。リンク・アークが目指すのは洗練された建築作品であり、瞑想や想像力を刺激する空間を創造し、「住む」というシンプルな行為を通じて静かな満足を与えることである。