光と影が都市の熱環境に応答する空間実験
イタリア・ヴェネチアで開催される「ヴェネチア・アーキテクチャー・ビエンナーレ2025」において、ドイツ・バイエルン州のデッゲンドルフ工科大学が建築インスタレーション「Flight into Shadow」を発表する。本作は都市における熱ストレス環境を背景に、光と影が知覚や快適性に与える影響を探る空間的リサーチである。プログラム「キープ・クール! ー ワークショップ・フォー・クール・シティーズ」の一環として、HFTシュトゥットガルト・インテリアアーキテクチャーおよびシュトゥットガルト大学(IBK2)との協働により実現した。
本プロジェクトの核となるのは、太陽を屋内へ招き入れる大胆な建築的ジェスチャーである。外部気象条件から独立した制御可能な“人工太陽体験”を創出し、光を主題かつ媒介として扱う。空間中央には個別制御可能なルミネアで構成された人工の太陽を設置し、絶えず変化する光環境を生成する。来場者は強い輝度に包まれる領域と穏やかな陰影の避難域を往還しながら、光を動的で生きた存在として体験する。生きたマイセリウム構造は有機的フィルターとして機能し、繊細なキャノピーを形成する。光を柔らかく拡散させると同時に、影を副次的現象ではなく能動的な空間要素へと転換する。そこでは露出と保護、感覚と認識のあいだにある繊細な均衡が可視化される。
- Photo credit: Jacopo La Forgia
- Photo credit: Jacopo La Forgia
- Photo credit: Jacopo La Forgia
- Photo credit: Jacopo La Forgia
- Photo credit: Jacopo La Forgia
- Photo credit: Sabine Wiesend
- Photo credit: Sabine Wiesend
- Photo credit: Jacopo La Forgia
インスタレーションは、木漏れ日効果(コモレビ・エフェクト)から着想を得ている。葉の隙間から差し込む一瞬の光のゆらぎを、没入型の建築体験へと翻訳する試みである。本来は刹那的な自然現象を、形態・素材・光の構成によって空間化し、時間の経過とともに展開するシークエンスとして提示する。緻密に構成された光のコレオグラフィによって、空間は連続的に変容し、多層的な情景とムードを生み出す。気候変動が進行する現代において、本作は適応と共生の戦略を再考する契機を提示する。影、マテリアル・インテリジェンス、そして知覚を環境デザインの鍵として位置付け、よりレジリエントな都市環境の形成を提案する。
デッゲンドルフ工科大学
デッゲンドルフ工科大学は、ドイツ・バイエルン州に拠点を置く応用科学大学である。工学およびテクノロジー分野を中心に、実践的教育と応用研究を展開し、産業界との強固な連携を基盤に国際的な教育研究活動を行っている。

日本語
English













