どうしてこんなに心が揺さぶられるのだろうー人間に潜む驚くべき創造の力

滋賀県立美術館は「人間の才能 生みだすことと生きること」展を2022 年 1月22日(日)からから3月27日(日)まで開催する。滋賀県立美術館は2021年に6月にリニューアルオープンし、本展は3本目となる企画展。滋賀県立美術館がコレクションする「日本美術院の作家を中心とした近代日本画」 「郷土滋賀県ゆかりの作品」「戦後アメリカと日本を中心とした現代美術」「アール・ブリュット」という4つの分野のうち、「アール・ブリュット」にフォーカスし、キュレーションは、館長(ディレクター)である保坂健二朗が担当する。

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本展では、時代の流れにとらわれず、つくりたいという真摯な欲求に基づき、独自の方法論で生み出された作品を紹介され、「生みだすこと」と「生きること」が一体となっているような人たちの作品の中には、アール・ブリュットと呼ばれるものもあるが、そうでないものもある。本展は、アール・ブリュットを相対的に捉えられる展示構成とすることで、アール・ブリュットという概念は今後も必要か、そもそもアートとは何か、そして人間にとって重要な才能であるつくるとは何かといった問いを考える場にしたいと考えている。

いま、「つくること(Making)」に注目が集まっています。

人類学者のティム・インゴルドは、人間にとって「つくること」というのは、最初に想像していた形にあわせて つくりあげる行為などではなく、自分が手にしている材料と対話をしながら、なにかを育てていくかのようにする行為だと言っています。そんな、人間が持っている才能のひとつである「つくること」の本質を再確認するべく、 本展では、育てるようにつくること、つまり「生みだすこと」が、「生きること」と一体になっているような人たちの作品を紹介します。

たとえば藤岡祐機は、幼少期から切り絵をつくっているうちに、紙に鋏で櫛の歯状に切れ込みを入れると小さくも美しいオブジェが生まれることに気づきました。澤井玲衣子は、かつて自分が訪れた場所や時間の記憶をもとに、たおやかなリズムの感じられるイメージを生みだします。彼らのほとんどは、プロのアーティストではなく、また、なんらかの障害を持っています。誰かに評価されるなど望まず、日々の生活の中で独自の方法論を編み出 しながらつくっていく彼らの作品からは、「生みだすことと生きること」を接続させていくことの大切さを深く感じ取れるはずです。

展覧会企画   保坂健二朗 / 滋賀県立美術館   ディレクター(館長)

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参加アーティスト

井村ももか、鵜飼結一朗、岡﨑莉望、小笹逸男、上土橋勇樹、喜舍場盛也、古久保憲満、小松和子、澤井玲衣子、澤田真一、アルトゥル・ジミェフスキ、冨山健二、中原浩大、福村惣太夫、藤岡祐機、山崎孝、吉川敏明

「人間の才能 生みだすことと生きること」展概要

会期2022年1月22日(土)〜3月27日(日)
時間9:30-17:00(入館は 16:30 まで)
会場滋賀県立美術館 展示室 3
住所〒520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町 1740-1 
休館日毎週月曜日(祝日の場合は開館し、翌日休館)
観覧料一般 1,300 円、高・大生 900 円、小・中生 700
URLhttps://www.shigamuseum.jp/exhibitions/1634/