国内外の現代アートシーンで注目を集めるアーティスト梅津庸一

美術出版社は梅津庸一の作品集『梅津庸一|ポリネーター』を2023年4月13日(木)に発売する。梅津庸一は美術家として2000年代初めより活動し、⽇本における近代美術絵画が生起する地点に関⼼を抱きながら絵画やドローイングのほか、近年は陶芸作品も手がけている。本書は初期作から代表作まで、多様な媒体による表現の変遷をまとめてみることができる初の本格的な作品集となる。2023年3月10日(金)からアートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術手帖」にて予約受付も開始する。

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『梅津庸一ポリネーター』表紙イメージ

本書は初期作から代表作までの作品約140点、さらに5万字をこえる評論(執筆=新藤淳)や、1万字のインタビュー(聞き手=德山拓一)と、作家本人による最新の書き下ろしエッセイを収録。作品制作のみならず、コレクティブ「パープルーム」やギャラリーの運営、展覧会企画や現代美術の制度をめぐる言論活動まで、高い批評性を保ちながら幅広い活動をする梅津の活動の全容を伝える1冊となっている(日英併記)。

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穴のあいたしおりと「梅津庸一展|ポリネーター」展示風景(撮影=畠山直哉)を印刷したしおりが重なりあって、表紙の上に置かれ、シュリンクフィルムに包装されている。展示風景のしおりは2種類。

本書の⾒どころのひとつは2022年にワタリウム美術館で開催された個展「梅津庸⼀展|ポリネーター」や⾋居アネッ クスでの2⼈展「6つの壺とボトルメールが浮かぶ部屋 梅津庸⼀ + 浜名⼀憲」の展⽰⾵景を写真家の畠⼭直哉が撮影したビジュアルページ。展⽰会場の什器や壁⾯の⾊彩など空間構成も⼿掛ける梅津の世界観を伝える。デザインは刈⾕悠 三+⾓⽥奈央(neucitora)が⼿がけている。

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同作品集より、梅津庸一《幻視》(撮影=今村裕司、画像提供=艸居)

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同作品集より。左が梅津庸一《宣夫》、右が《レンコン状の月》(撮影=今村裕司、画像提供=艸居)

評論⽂やインタビュー、作家⾃⾝のエッセイといったテキストでは梅津の幅広い活動についても詳しく分析し、資料としても極めて重要な性質を有している。多⽤な活動をつなぐ梅津の作家性と未来の展開を伝える1冊となった。

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同作品集より、「梅津庸一展|ポリネーター」展示風景(撮影=畠山直哉、画像提供=艸居)

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同作品集より、「6つの壺とボトルメールが浮かぶ部屋 梅津庸⼀+浜名⼀憲」展⽰⾵景(撮影=畠山直哉、画像提供=艸居)

梅津庸⼀(うめつ よういち)

美術家。1982年⼭形県⽣まれ。⽇本における近代美術絵画が⽣起する地点に関⼼を抱き、⽇本の美⼤予備校や芸⼤での教育に鋭い視線を投げかけた制作、活動を⾏う。主な展覧会に、個展:「未遂の花粉」(愛知県美術館、2017年)、「 梅津庸⼀展|ポリネーター」(ワタリウム美術館、2021年)、2⼈展:「6つの壺とボトルメールが浮かぶ部屋 梅津庸⼀ + 浜名⼀憲」(⾋居アネックス、2021年)、グループ展:「恋せよ⼄⼥!パープルーム⼤学と梅津庸⼀の構想画」(ワタリウム美術館、 2017年)、「百年の編み⼿たち―流動する⽇本の近現代美術―」(東京都現代美術館、2019年)、「平成美術:うたかたと⽡礫(デブリ)1989-2019」(京都市京セラ美術館、2021年)など。著書に『ラムから マトン』(アートダイバー、2015年)。『美術⼿帖』2020年12⽉号特集「絵画の⾒かた」監修。

『梅津庸⼀|ポリネーター』 書籍情報

著者梅津庸⼀
定価6,000 円+税
発売2023年4⽉13⽇
仕様184ページ、 A4 変形、上製本(スイス装)