オーストラリアの砂岩の崖の色調と質感をイメージ
SAOTAとTKDSが手掛けたウォーターズ・エッジは、ウォーターフロントという立地を生かした多層階のヴィラ。シドニー湾を見渡し、その壮大な環境に導かれるように、隣接する砂岩の崖の色調や質感を取り入れながら、水辺とシームレスに繋が空間を作り出している。
自然とシームレスなヴィラ
ウォーターズ・エッジは広大な敷地に広がり、その流線型の直線と、さらに向こう側に広がる海の水平線と呼応している。SAOTAとTKDSは港の美しい景色を眺めながら、道路沿いから部分的に隠れた微妙な存在感を維持するため、ヴィラを景観に溶け込ませ、ゆったりとした空間を確保。石造りの大胆な外観や片持ち梁のリビングエリアと対照的に、歴史的な町並みの控えめな個性が保たれている。ヴィラへのアプローチは緑豊かな前庭を通り、彫刻的な車寄せから邸宅のダブルボリュームの空間へと続く、親密で緩やかな展開となっている。内部は彫刻が施された白い砂岩の柱が屋根を支え、高さいっぱいのガラスが自然光とパノラマ眺望で空間を満たす。
リビングルームでは繊細な模様と穴のあいた銅製のスクリーンがこの光を遮り、穏やかな木陰のように柱の堅固さと空間の広大なスケールを和らげている。リビングエリアを屋外スペースに簡単にアクセスできるように1階に配置することで、屋内と屋外の流動性を実現している。また、空間全体を通してプライバシーを守りながらベッドルームは上層階に配置されている。
ファサードはシンプルな幾何学模様で溶岩石で覆われ、風化した銅、ブロンズ・アルミニウム、オーストラリア全土で広く使われているマウント・ホワイト・サンドストーンでアクセントを加えている。マイルス・ボールドウィンの造園は、滝のようなプールに沿って、珍しい原生種や大きな標本、彫刻のような熱帯植物を植えている。
建築事務所SAOTA
ステファン・アントーニ、フィリップ・オルメスダール、グレッグ・トゥルエン、フィリップ・フーシェ、マーク・ブリヴァント、ロクサーヌ・ケイ、ロージェン・ゴードン、ダニ・ライマーズ、ドミニク・ジョージのダイナミックなコンビによる建築事務所。SAOTAは、デザイン、ドキュメンテーション、プロジェクト遂行への革新的かつ献身的なアプローチと相まって、世界的に注目されるブランドとなる。世界6大陸でプロジェクトを展開し、世界におけるデザインの位置づけと多様な市場で建築プロジェクトを実現する方法を明確に理解している。成功の原動力は機能と形態を結びつけるデザイン哲学と、適切なソリューションを生み出す真の建築デザインの追求にある。また、最大限の価値を実現することに重点を置くことで、世界的に権威のあるプロジェクトの設計、施工、創作に招聘されている。