多様な素材のハーモニーが醸し出す空間演出

ロサンゼルスを拠点とするスタジオUNLTDが、カリフォルニア州フレズノの新しい複合施設の一部に位置する、75平方メートルの屋外スペースと493平方メートルのレストランのインテリア、ファサード、パティオを含むデザインプロジェクト「セゾンレストラン」を発表した。

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Photo credit: Zack Benson Photography

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Photo credit: Zack Benson Photography

本プロジェクトは建築構造に代表される永続性と、海の満ち引きに象徴される流動性という相反する性質間のバランスを考慮することに重きを置いた設計となった。朽ちたコンクリート桟橋の支柱を思わせる重厚な漆喰塗りの柱と梁が部屋にドラマチックな格子状の骨組みを加え、板状のコンクリート壁タイルからは質感と奥行きが演出される。バーやオープンキッチンのエネルギッシュな雰囲気から、プライベートダイニングルームの魅惑的な安らぎまで、堅固な「コンクリート 」構造とは対照的に驚くほど多様な素材や形状の数々が戦略的に採り入れられ、室内にさまざまなリズムを生み出している。

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Photo credit: Zack Benson Photography

また、職人とのコラボレーションにより、空間全体の仕上げに郷愁や経年変化の感覚をもたらし、ドラマチックな雰囲気を醸し出している。エントランスからは、空間の幾何学と自然の力からインスピレーションを得た壁画の印象的な色彩とエネルギッシュな筆致に目を奪われる。バーカウンターの上には、古い漁船の裏側に見られる錆びた金属を思わせる特注の塗装仕上げがされている。足元には砂浜に打ち寄せる波を模した見事なペイントが施された床があり、バーからラウンジを通り、最終的にプライベートダイニングルームへと続く流れがイメージされている。プライベートダイニングルームには古びたオニキス色の「ブロック」で造られたような2面の壁で仕切られ、そこにはメキシコの古代遺跡からインスピレーションを得た幾何学模様が彫り込まれている。この壁に嵌め込まれた両面暖炉が、親密な空間と隣接するメインダイニングルームに暖かい光をもたらしている。

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Photo credit: Zack Benson Photography

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鮮やかなオーシャンブルーや銅のハイライトが、温かみのあるレザー、黒く染色されたオーク材、様々なトーンの黒色などアースカラーとナチュラルカラーを基調としたパレットの美しさを際立たせる。テーブルを照らす照明は、柱や梁、アート作品、特注の壁面装飾に注意を促すアクセント照明と重なり絶妙なハーモニーを見せる。両面バンケットの背に沿って取り付けられた特注のアーム付きペンダントは、質感のあるセラミックシェードとレザーストラップが特徴的。幾何学的な形は、テーブルトップやバンケットの特注家具にはめ込まれた銅の形と相まって、随所に遊び心を演出している。

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Photo credit: Zack Benson Photography

スタジオUNLTD

ロサンゼルスを拠点とし、インテリア建築、建築、家具、照明など様々な分野に精通するホスピタリティ・デザイン会社。受賞歴多数。クライアントのニーズや希望に注意深く耳を傾け、機能的で快適、そして美しい空間を創造している。プロジェクトの中心にクライアントがあることを理解し、自分たちはそのアイデアを成功させ、コンセプトを具体的な形にするための手段であると考えている。