ブラジルの文化的アイデンティティを持つ自然と一体化した住居
パドヴァーニ建築事務所が、友人や家族をもてなすための広々とした快適な空間というクライアントの要望に応える別荘を完成させた。屋内と屋外スペースの調和を重視し、シームレスで楽しい雰囲気の別荘になった。7つのスイートで構成されるこの家は、ゲストに必要な快適さとプライバシーを提供。さらに、リラクゼーションのためのプールや、体を動かすためのジムなど、必要不可欠なレクリエーション・エリアも組み込まれている。本プロジェクトは、機能性、審美性、快適性を融合することに成功している。
地形を尊重し、メインブロックと隣接するブロックのそれぞれのオーバーレイを配置することで緩やかに一体化させ、軽快で特徴的なヴォリュームが生みだされている。地形の自然な勾配と段差を利用し、住宅のメインブロックを部分的に地形に埋め込むことが前提となっており、このアプローチにより既存の地形に合わせ、垂直性を最小限に抑えた3階建ての住宅を構想することができた。その結果、ヴォリュームは上部の庇の金属構造によって描かれる細長いラインとなり、全体のデザインにおいて水平ラインが強調された。
建築コンセプトの選択に影響を与えた重要な要素としては、息をのむようなパノラマビューのフレーミング、地形の傾斜をデザインの不可欠な要素として活用すること、そして視覚的に説得力のある構図をつくるためにブロックを戦略的に重ねることなどがある。自然環境との融合と眺望の最大化を重視し、快適で機能的な居住空間を提供しながら周辺環境との調和を図った。
プロジェクトが実施された敷地は、周囲に大きな建物がなく、そのため建物と建物の間に大きなオープンスペースがありプライバシーが保たれている。そのためこの住宅のデザインをするにあたり周辺の既存の建築様式に合わせる必要はなかった。その代わり、ブラジルの建築のアイデンティティ、特に素材感を反映したアプローチを選択することができた。
木材や石材などブラジル特有の素材を住居の建築に利用したが、これらの素材は、土地の自然や文化的背景と調和するだけでなく、耐久性、耐性、洗練された心地よい美しさといった実用的な利点も備えている。そのため本プロジェクトは景観やブラジルの建築遺産との真のつながりを確立すると同時に、居住者に現代的で快適な空間を提供している。デザイン自体はこの地域の伝統的な建築様式から直接影響を受けてはいないが、ブラジルの文化的アイデンティティを反映した素材や建築要素を意識的に選択したことで、土地の文脈の把握と建築の真正性を追求するものとなった。
パドヴァーニ建築事務所
シンプルな中に個性を表現しようとする線で物語を紡ぎ、自然との強烈な対話を確立しているブラジルの建築事務所。コンセプチュアルな詩学やクライアントの要望と調和した最良の技術的対応を検討することで、プロジェクトの独自性を生み出している。彼らのアイデンティティは、南国の息吹を感じさせるデザインに応用されたエレガンスに特徴付けられ、そのエッセンスを作品に表現している。