デジファブ技術を用いて施主自らが設計から施工まで

VUILDが提供するデジタル家づくりサービス「NESTING(ネスティング)」は、デジタルファブリケーション技術を用い、施主が主体となって設計から施工までをおこなう住宅キットをリリースした。着工からわずか2か月で竣工した約75㎡の戸建て一棟目を皮切りに、建設業界が抱える人材不足や建設費高騰などの課題を解決する、新しい家づくりの在り方を提唱する。

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photo by Tomoyuki Kusunose

NESTING「住宅キット」とはデジタルファブリケーション技術を用いた、施主が主体となる家づくりの在り方。これまで当たり前だった「家は買う(もしくは借りる)もの」という考え方から、「家は自分たちでつくるもの」に変化させることで建設業界が抱える人材不足や建設費高騰の課題解決に取り組み、「いきる」と「つくる」がめぐる社会への実現を進める。

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photo by Tomoyuki Kusunose

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photo by Tomoyuki Kusunose

住宅のキット化

未経験の人でも施工に参加する家づくりの在り方が建設業界の人材不足問題を解決するのではないかと考え開発したのは、住宅キット。キットは木材のデジタル加工機「ShopBot」を用いて加工されることにより、複雑な接合部やビス打ちの下穴、組立順序を示す番号付けなどを精度高く、簡単に製造することが可能となる。各部材は人が持てるサイズに分解して設計しているため、クレーンなどの重機を必要とせず、施工の現場では番号とビス穴を確認しながら部材を組み立てるだけで、素早く、精度良く施工することができる。

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識別番号とビス穴のガイドが付いた部材

設計

専用アプリや設計担当とのワークショップを行いながら、理想の住環境を作り込む。

部品加工

設計完了後、VUILD手配にて材料の製材を調達し、ShopBotを使って木材加工、壁や天井となるパーツの製造を行う。

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加工済みの壁パーツを構成する部品が陳列されている様子

基礎工事

今回のキットでは一般的な住宅の基礎のようにコンクリートの打設を行わない。DIY可能な杭工法を用いて、電動工具を用いて自ら杭を打ち込む。adf-web-magazine-vuild-nesting-6

躯体工事

打ち込んだ杭の上に、2で加工した材を組んでいく。1つあたりのパーツは10kg以下としているため、持ち運びも容易。初めは床から、そしてその上に柱を立て、屋根を組んでいく。adf-web-magazine-vuild-nesting-1

内装工事

木の構造体の完成後、間に断熱材を挟み、壁や建具を取り付け、塗装を行う。壁や天井はあらかじめパーツ化したものを取り付ける仕組みのため、施工も簡単に行える。adf-web-magazine-vuild-nesting-7

電気・給排水設備工事

電気や給排水などの専門工事は、プロを手配し行う。VUILDの手配、もしくは自身で手配することも可能。

今後の展開

日本は地域によって積雪状況など気候環境が大きく異なるため、全国で快適・安全な住まいをつくることが出来るよう、構造開発を進める。また能登半島地震により被災した地域での住宅再建の取り組みも進行している。