多摩美術大学と企業5社が連携する、SDGs時代の循環型社会にむけた共創プロジェクト「すてるデザイン」が始動
多摩美術大学は、2021年5月、モノファクトリーと企業5社と連携し、循環型社会に向けた共創プロジェクト「すてるデザイン」を立ち上げた。当プロジェクトは、企業の産業廃棄物に新しい価値や意味を与える美術大学によるサーキュラーエコノミーに向けた新しい取り組みで、2021年4月に東京ミッドタウン内に開所したTama Art University Bureau(以下TUB)を拠点に活動している。
美大によるサーキュラーエコノミーに向けた新しい取り組み
TUBは、「まじわる・うみだす・ひらく」をコンセプトに、様々なステークホルダーや企業、社会人と行うオープンイノベーションによる新しい価値創出、デザインやアートの力を社会に対して開いていくことを目的としている。この度、オープンイノベーションの第一弾のテーマとして、モノファクトリーをハブにしながら、伊藤忠リーテイルリンク、ナカダイ、ブックオフコーポレーション、プラス、他1社と共に複数社と連携した社会課題解決型のプロジェクトに臨む。
「すてる」を考え、社会や産業を支えていくデザインへ
大量生産・大量消費・大量廃棄のリニアな経済から循環型経済(サーキュラーエコノミー)へという掛け声や脱炭素社会の重要性が声高に叫ばれているにも関わらず、解決できている事例は世界的にもほとんどない。今までは無限に捨てることが可能という前提で、社会の仕組みが成り立ってきたからである。そこに変化をもたらすことができるのは、デザインの持つ創造的な力。膨大な廃棄物も見方を変えれば、産業を支える重要な資源である。「つくる」ことで産業を支えてきたこれまでのデザインから「すてる」を考え社会や産業を支えていくデザインへ。無理を強いるのではなく、創造的な仕組みやライフスタイルを生み出していく。希望ある未来をつくっていく「すてるデザイン」がここからはじまる。
デザインの力を通じて廃棄物の発生抑制や捨て方自体を根本から変える
全国における産業廃棄物の年間総排出量約3億7,883万トン(平成30年度 実績環境省調べ)、アジア諸国の廃棄物輸入規制の影響や土地面積の狭いため廃棄する場所が限界にきているなど、日本が抱えている課題もある。本プロジェクトでは、デザインの力を通じて廃棄物の発生抑制や捨て方自体を根本から変えることを目指す。産業廃棄物の処理に長く関わり、リサイクル率99%を実現しているナカダイ。そのコンサルティング部門として独立したモノファクトリーをハブにしながら、廃棄物の課題と真摯に向き合っている企業と協働しながら前例にとらわれないデザインの持つ創造的な力を活かして新しい価値を創出や課題解決をしていく。
共創プロジェクト「すてるデザイン」は、プロダクトデザインを専攻の学生の授業のプログラムを中心にしながら、プロダクト、情報デザイン、統合デザインなどの学科横断の有志による取り組み、有識者のレクチャーによる学びの機会の提供、またこの活動や成果を社会に広げ、さらに多くの参加者を募っていくためのイベントの開催などを予定。デザインする機会として以下の3フェーズで活動していく。学生参加のプログラムとして、今年度合計8つの課題プログラムがカリキュラムに組まれており、既に着手している。プロジェクト関連企画として、多摩美術大学TUBにて2021年6月4日(金)から6月24日(木)の期間に、第2回企画展「すてるデザインの生まれる場所」を開催。デザインとアートの様々な背景を持つ多摩美術大学の学生が、廃棄資材を用いて作品制作に取り組む「生のプロセス」を展示した。
プロジェクト参加企業5社(五十音順)
- 伊藤忠リーテイルリンク
- ナカダイ
- ブックオフコーポレーション プラス他一社
多摩美術大学 TUB 基本情報
所在地 | 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウンタワー5F(デザインハブ内) |
ディレクター | 和田達也教授、永井一史教授 |
ウェブサイト | https://tub.tamabi.ac.jp/ |