建物空間における分析方法を根本から変えるAI機能群

建築世界のデジタルトランスフォーメーションを手がけるMatterport（マーターポート）がプロパティインテリジェンスを発表した。プロパティインテリジェンスは建物空間における自動測定、レイアウト、編集、およびレポート機能を提供するAI機能群。デジタルツインから生成され、これらの新しい機能は不動産の仲介・販売、建設プロジェクト、そして生産現場のオペレーションを含む主要な業務プロセスを自動化し、マーケティング、設計・建設、施設管理向けのソリューションが強化され、効率化が期待される。

Matterportは今回のリリースの一環として、ユーザーの空間ナビゲーションと不動産営業担当者との連絡をスムーズにする新しいショーケースプラグイン群を発表。コンパスとミニマップのプラグインを通じて、訪問者は新しい視覚的手がかりを利用して広範囲の建物内を直感的に探索できるようになる。さらに、名刺表示とクイックリンクのプラグインを使用することで、デジタルツイン内における重要な連絡先情報や追加の不動産情報へのアクセスが可能になる。また、RICS基準に準拠したフロアプランを充実させ、色付きの平面図、ブランディングのカスタマイズ、多言語オプション、家具の追加や削除などの機能が含まれている。

コンパス

ミニマップ

営業担当者の名刺情報の表示

自動生成レポート

色付きのフロアプラン（平面図）

Matterportは、昨年12月にベータ版として発表したCADファイルアドオンを正式にリリースしている。このアドオンにより、Matterportのデジタルツインから得られる点群データをAutoCADや業界標準のDXF形式の2次元図面に変換することが可能になった。この機能は、デジタルツインデータを設計者が使用しやすい形式に変換し、建設および設計部門が現状を効率的に文書化し、手動トレースのような労働集約的な作業を減らすためのソリューションとなり、CADファイルアドオンは、図面化プロセスの合理化を通じて、プロジェクトの期間短縮にも効果的となる。

CADファイルのアドオン

また、Matterportは機械学習とAIの豊富な経験を活用し、デジタルツイン内の空間を自動で再構想・再設計するための、新しい生成AIプロジェクト「Genesis」のプレビューを発表。このプロジェクトでは、ユーザーがまず建物内の家具や物品を除去し、その後、AIが提案するインテリアデザインと家具を用いて、不動産を全面的に作り変えることが可能。Project Genesisは、今年の後半に限定的なベータ版のリリースを予定している。

生成AIのGenesisプロジェクト

Matterport

アメリカ・カリフォルニア州に本社を置き、建築世界のデジタルトランスフォーメーション分野にて事業を行っている。画期的な空間データプラットフォームは、建物をデータ化し、空間の価値とアクセス性を高めている。177 カ国以上の何百万もの建物が、Matterportのデジタルツインとして生まれ変わり、計画、建設、運用から、文書化、鑑定、マーケティングまで、建物のライフサイクルのあらゆる部分を改善している。