遠藤新設計の自由学園女子部校舎群が「東京文化財ウィーク」に初参加

遠藤新設計の自由学園女子部(中・高等科)校舎の建つエリアが2022年3月に東京都指定有形文化財に指定されたことを記念して、自由学園は「東京文化財ウィーク」に初参加し、2022年11月3日(木・祝)に見学会を開催する。通常は一般公開されていない⽊造校舎群を、そこで日々学び生活する女子部高等科の生徒が案内する。

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東京都指定有形文化財:自由学園女子部(中・高等科)の校舎群 (設計:遠藤 新 建築年:1934年)

1921年にジャーナリストの羽仁もと子・吉一夫妻により創立された自由学園。創立当時の校舎「⾃由学園明⽇館」(東京都豊島区)は、⽶国の⾼名な建築家フランク・ロイド・ライトとその愛弟⼦の遠藤新により設計・建築され、現在は国の重要⽂化財となっている。その後1934年に現在地の自由学園南沢キャンパス(東京都東久留米市)に移転。その折に遠藤新により設計された女子部(中等科・高等科)の一連の木造校舎群(食堂・講堂・教室棟4棟・体操館の計7棟)が、2022年3月に、廻廊、池、中庭、大芝生などを含む土地付きで東京都指定有形文化財に指定された。

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女子部食堂(外観)

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女子部食堂(内観)

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女子部講堂

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女子部体操館(内観)

自由学園の教育と遠藤新設計のキャンパス

フランク・ロイド・ライトと共に自由学園明日館の設計を手掛けた遠藤新は、ライトの建築思想を受け継ぎつつも独自の構想で南沢キャンパスの設計をしており、この自由学園女子部の校舎群とその景観は、遠藤新の代表作のひとつと言える。

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教室棟と池 講堂に向かう生徒たち

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廻廊(照明は明日館と同じデザイン)

自由学園は「生活即教育」「生活即探求」の理念を掲げており、このキャンパス全体が生徒の感性を育み、学科・⽣活・芸術すべての分野につながる学び・探求の場であると考えている。建築後90年近く経つ校舎だが、もっとも特徴的なことは、代々の在校⽣⾃⾝が、室内も庭園も⾃分たちの学びの場、⽣活の場として責任をもって毎⽇掃除・管理をしてきたことである。

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女子部遠景と坂道を掃除する生徒

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大芝生の手入れをする生徒

2021年に創立100周年を迎えた自由学園では、現在全校で教育改革を進めている。これまで女子部・男子部と別学であった中高の段階を共生社会の学びの場とするために、2024年度からの男女共学を目指して準備中で、将来は男女生徒が共にこの校舎を活用する予定である。その時代の教育内容に応じて、これからも建物の部分的な改修をしていくことがあるが、自由学園では今後も遠藤新設計のこの美しい景観を大事にしていく。

「自由学園女子部 東京都有形文化財指定記念見学会」概要

開催日2022年11月3日(木・祝)
見学時間1日3回、グループごとに案内。(1グループ)10:00~11:30、(2グループ)13:00~14:30、(3グループ)15:00~16:30
参加人数各回定員30名(先着順)
見学料500円(高校生以下無料)
詳細・参加申込自由学園HP特設ページにて案内