全室に坪庭配備の「HOTEL KYOTOLOGY」が世界3大デザイン賞のひとつ、「IFデザインアワード2021」を受賞
京都東山区に建つHOTEL KYOTOLOGYが、このほど、世界3大デザイン賞のひとつといわれる「IF DESIGN AWARD 2021」を受賞した。GENETO Architectsとコスモスモアが共同でデザインしたホテルは、全客室に京町屋を連想させる坪庭を配しており、客室の窓からは周囲の建物は見えず、坪庭のみが見えるように配慮された設計となっている。今回の受賞は、DFA DESIGN AWARD 2020やARCHITECTURE MASTERPRIZEに続く受賞となる。
HOTEL KYOTOLOGYは、京都の観光地として名高い三十三間堂の近くという好立地に2020年に建設され、4階建の建築物に14室の客室を有しており、各客室には京町家を連想させる坪庭が組み込まれている。 全ての客室の窓からは周辺の建物は見えず、坪庭のみが見えるように配慮された設計となっているため、滞在中もカーテンを開けて滞在することができ、pivotoによるオリジナルデザインの家具によってリラックスできる空間が完成している。
各居室共にベッドから坪庭を眺めることができ、そこには苔で作られた京都を取り囲む山々をイメージして作った築山が設けられている。築山にはホテルの建設前からこの敷地にあった様々な石を再利用した錫と石によるアートピースが備え付けられている。このアートピースは建築家 山中コ〜ジと和鏡師 山本晃久による合作で作られた作品で、それらで構成された坪庭によって訪れた人をもてなしてくれる。
コンセプト
観光地にほど近く好立地でありながらも、中層の民家や集合住宅に囲まれていることから、周囲からの視線に晒されていたホテル。周囲からの視線を遮断しながら客室への通風や採光を確保することが必要であると考え、京都らしい風情が感じられる空間を模索した。京都市内の密集した町家は、家の3辺が挟まれており、ファサードか坪庭からの通風や採光に頼るほかは無い。 特に「坪庭」は住人だけの外部空間と言える。通風や採光の確保や、石や植物といった存在が人の心を落ち着かせてくれ、四季を映し出すスクリーンともなっている。そこで、京都の町衆が永年かけて作り上げた坪庭が生活にある日常を、ホテルでの体験へと転用しようと試みた。
北に面した前面道路からの斜線制限と、京都の景観条例に合わせて雛壇状に建築のボリュームを後退させた。最大限の容積確保の為に4層の建築とした。 また、4層の建築は容積率が上限を超えた為、ある程度の容積を減らす必要があった。そこで、超えた容積を「坪庭」として外部用途とすることで、上限値内に抑えることに成功。 坪庭は1階から4階までの客室に合わせて様々なタイプを作り、全室においてベッドルームとそれを正対させた。1階は以前から同敷地にあった灯籠、石、樹木を再構成し、2階以上は砂利と苔により京都の山々をイメージした築山で構成した。また、全てに石と錫を組み合わせた光る錫石(アートピース)を配置し、苔の築山と錫石は開口部からもたらされる光と共鳴し豊かな表情を生み出している。
開口部を坪庭に面する事で周辺環境からの視線を切りつつ、通風と採光を確保し、滞在する人々に坪庭ならではの空間体験を楽しんでもらえる設計となった。
「HOTEL KYOTOLOGY」店舗概要
住所 | 京都市東山区本瓦町672-6 |
TEL | 050 3204 4328 |
URL | https://kyotology.com/ |