都市に内在するエネルギーを自然と融合させ都市生態系を作り出す
オーレ・シェーレン建築事務所が現在進行中のJD.comの深圳新社屋建設プロジェクト「Scenic City(風光明媚な都市)」を公開した。オーレ・シェーレンは北京のCCTV本部を手がけた建築事務所で、本プロジェクトは国際競争入札の末に選ばれた案件。新社屋のデザインは都市の社会基盤を拡張し自然を取り入れたワークスペース体験の未来モデルを創ることを目的に、都市に内在するエネルギーを自然と融合させる「中間的なスペース」に焦点を当てている。2022年初めに着工し、2027年末の完成を目指している。
新社屋は広東-香港-マカオの大湾岸地域で繁栄するビジネスと金融の中心地・深圳の南山区でひときわ目立つ存在で、中興通訊(ZTE)、中信(CITIC)、OPPOを含むグローバル企業の活気あるコミュニティに加わることになる。2つのタワーと隣接する「都市の背骨」にまたがる200万平方フィートのオフィス、ホテル、店舗、文化スペースで構成され、「背骨」の上には劇場や展示スペースを備えた文化施設・JDハブがあり一般に開放される。タワーの下には、JDワールドの共有ポディウムがあり、様々な文化イベントが開催される。複合施設とアクセス可能なスペースの戦略的配置により、このキャンパスは周囲の環境と一体化し、都市のコンテクストとともに活性化するように設計されている。
高さ約200mに達するタワーは個々のブロックで構成され、その有機的なフォルムは近隣の山岳地帯の自然な輪郭と呼応しながら、周囲の様々な都市スケールと関連している。垂直ルーバーは通風を確保し、ガラスの反射率と透明度を調整すると同時に、視覚的に水の流れをイメージさせる。嶺南の自然景観の特徴である滝に微妙に似たファサードは、風光明媚な景観への視覚的な手がかりを提供するだけでなく、街並みの中で本社の明確なアイデンティティを生み出し、都市構造に活気とエネルギーを吹き込む。
タワーを縦に貫く豊かな緑が自然との結びつきを象徴している。ファサードは一定の間隔で開き、建物の内部と外部空間を垣間見ることができる。このような垂直的な景観の瞬間は、タワーのあちこちに配置された緑のテラスによって補完され、スタッフがくつろげるスペースへのアクセスを提供し、各階でのコミュニケーションを促す。
「中間的なスペース」というコンセプトは、東洋の自然の概念に深く根ざしており、建築されたボリュームの中だけでなく、その周辺や間にも生じた箇所にも配慮している。新社屋は持続可能な都市モデルへのホリスティックなアプローチを追求し、都市、環境、コミュニティ、建築を統合することで、相乗効果のある都市生態系を作り出している。
オーレ・シェーレン建築事務所
建築、都市デザイン、インテリアデザイン、リサーチを手がける国際的な建築事務所。香港、北京、ロンドン、ベルリン、バンコクにオフィスを構え、世界各地で先駆的な建築プロジェクトや都市開発を手がけている。現在までに合計100万平方メートル以上のプロジェクトを完成させ、さらに100万平方メートルを建設中、さらに100万平方メートルを設計中。シンガポールのインターレースがCTBUH10年賞、シンガポールのDUOがCTBUHアーバン・ハビタット賞2021、DUOとマハナコンがCTBUH優秀賞2018、シンガポールのインターレースがワールド・ビル・オブ・ザ・イヤー2015、北京のCCTV本部がCTBUHベスト・トール・ビルディング・ワールドワイド賞2013など、数々の賞を受賞している。