メルセデス工場跡地を利用した複合的でコンパクト包括的な地区
建築事務所バトレロワはバルセロナの古いメルセデス・ベンツ工場を再活性化するプロジェクト「エコディストリクト・ラ・メルセデス」を発表した。このプロジェクトは新たな経済活動と居住活動を生み出し、ボン・パストルとベソスの大規模な都市再生に貢献、バルセロナ市内でダイナミックな都市エリアとなっている。
都市網の構築
旧工業用地は社会的・経済的特性が大きく異なる住宅地間のつながりを遮断していたが、ラ・メルセデス地区は2つの新しい都市軸の交差点となる。東西軸によって、ボン・パストル地区と将来レック・コンタル公園となるベソス川公園が繋がり、南北軸はラ・マキニスタとバロ・デ・ビヴェル地区をレック・コムタール公園とトレント・デ・ラ・エスタデリャ工業団地の将来的な開発地と結ぶ。この提案は、近接しているが、歴史的に孤立していた地域を結びつけ、都市と社会的構造を一体化させる新たなプロジェクトとなる。
産業遺産のリサイクル
旧メルセデス・ベンツ工場は、建築家ロベール・テラダスによる1950年代から1970年代まで継続したプロジェクトで、すべての建物に歴史的・遺産的価値がある。その北欧風の建築は無形的価値と同様に、近隣住民の多くが参加していた地区の産業遺産を物語っている。新しく提案された開発は、様々な建物の再利用を通して、この場所の建築史と社会的意義を認識するものであった。複合施設は経済活動のための新しい建物と既存の建物を中心に構成される。また、大規模なクリーンエネルギー生産センターを収容できる公共のシェルターとなるよう設計されている。
複合用途となる地区
歴史的な複合施設は教育や知識に焦点を当てたオフィスや施設だけでなく、4.0産業の創造性、革新、研究、サスティナビリティに焦点を当てた活動を含む経済活動の拠点として生まれ変わる。
新しい生き方
ラ・メルセデスは人々が学び、暮らし、働くことのできる地域になることを目的とし、コンパクトな街区にさまざまなタイプの住宅が建ち並びぶ。1階には多くの商業店舗、コミュニティ施設などが集まり、それらが一体となって新しい中心地を構成している。
気候変動への備え
気候変動への準備が整った都市居住地として、道路や広場といった緑のインフラを中心に構成されたラ・メルセデスは、周辺環境の気温を最大3℃下げることができるシステムと素材で設計されている。フリースペースは社会的結束を促進し、アクセスしやすい集会場となる。更に公共スペースは、自動車よりも自然や生物多様性を高める緑地が優先されている。
建築事務所バトレロワ
バルセロナにある建築事務所バトレロワは、エンリック・バトレとジョアン・ロイグによって1981年に設立。プランニング、ランドスケープ、建築の各分野を融合させた、学際的なチームである。デザインとは正しい発展と結びついた継続的なプロセスであるという信念の元、創造性と技術を兼ね備えた建築を専門としている。環境にコミットし、地球の気候変動という非常事態を解決するためのソリューションを探求し、設立以来、ランドスケープと自然に寄り添ってきた。