風と音、そして草原の記憶
アメリカ・ネブラスカ州オマハのローリッツェン・ガーデンズに新設されたチルドレンズ・ガーデンの中心作品として、植物に着想を得たキネティック彫刻「Chorus Ventus」が設置された。デザインスタジオNEONによって制作されたこの作品は、動きと音、そしてランドスケープを組み合わせたインタラクティブなランドマークであり、庭園内だけでなく近くのインターステート80号線からも見える。
この作品は、チルドレンズ・ガーデンの大規模な再整備に伴い実施された国際公募によって選ばれた。募集では、敷地内で最も高い地点に設置される中心的な作品として、子どもたちの関心を引き、来園者の参加を促し、比較的小さな設置面積で庭園の景観と調和しながら、周辺地域からも視認できるランドマークとなることが求められていた。
「Chorus Ventus」のコンセプトは、北米中央部にかつて広がっていた背の高い草原の生態系に関する調査から生まれた。初期の開拓者たちはこの地域を「草の海」と表現し、広大な地平線と、肥沃な土壌に根づく多様な野花に満ちた風景を記録している。しかし現在では、この生態系の完全な形で残っている部分は全体の4%未満であり、ネブラスカ州では2%未満にまで減少している。失われた草原を回復させるための復元活動が進められている地域もある。
こうした環境的背景をもとに、この彫刻は草原の再生の過程で発見された架空の植物種を想像するかたちで構想された。ラテン語のタイトル「Chorus Ventus」は「風のダンス」を意味し、作品の中心的な要素である動きとリズムを象徴している。
作品は151本の湾曲したスチールチューブで構成され、放射状に配置されることで、地面から一つの有機的な生命体が立ち上がるような形態をつくり出している。それぞれのチューブには、先端に小さな色付きベルを備えた柔軟なガラス繊維強化プラスチック(GRP)ロッドが取り付けられている。これらの要素が集まり、環境の変化や人の関わりに反応する一体的な動きのフィールドを形成している。
色彩もまた、この彫刻の植物的な印象を強める要素となっている。スチール部分は中心部のピンクから外縁部のグリーンへとグラデーション状に変化しており、地面から広がる花のような有機的な成長を想起させる。
風がロッドの間を通り抜けたり、来園者が地面近くでロッドをやさしく揺らしたりすると、先端のベルが鳴り、繊細な音の環境が生まれる。こうして作品は、自然の力と来園者の行為の双方によって変化するキネティックかつ音響的な風景を生み出す。
この作品を長期間屋外に設置するためには、耐久性の確保が重要な設計課題となった。ネブラスカ州の気候は、暑い夏や寒い冬に加え、竜巻の可能性もあるなど厳しい条件を伴う。そのため、彫刻は極端な環境にも耐えながら恒久的に設置される構造として設計されている。
各ステンレス製チューブは、地下に設置された特注の二層式ベースプレートによって固定されている。地上部分ではチューブに耐久性の高い粉体塗装が施され、GRPロッドには顔料を練り込んだ素材に加えUV耐性コーティングが施されている。これにより、最小限のメンテナンスで30〜50年程度の使用が見込まれている。
また、メンテナンスを容易にするため、各ロッドとベルはシンプルなイモネジ式の固定方法によって取り付けられている。これにより、必要に応じて個々の部品を現地で簡単に交換することが可能となり、作品の長期的な維持管理を支えている。
作品の設置場所も、来園者の体験を形づくる重要な要素となっている。彫刻は庭園内で最も高い地点に配置されているが、多くの場所からすぐに全体が見えないように意図的に向きが調整されている。そのため来園者は、遠くに揺れる色彩や動きの断片を最初に目にし、好奇心に導かれて展望地点へと向かうことになる。
彫刻へと続く動線は、作品と調和する植栽に囲まれた長い螺旋状のスロープによって構成されている。来園者が上へと進むにつれて作品が徐々に姿を現すこの演出は、発見の喜びを強調する体験として設計されている。
頂上部にはランドスケープに溶け合うようにシートが設けられ、チルドレンズ・ガーデンの活発なエリアから離れた静かな休憩空間となっている。ここからは、風に揺れるロッドの動きや音を観察できるだけでなく、谷間を流れるミズーリ川の景観を見渡すこともできる。
夜間には、彫刻のベース部分に組み込まれたRGB照明が柔らかな光を放ち、周囲の景観の中で穏やかに浮かび上がる存在となる。「Chorus Ventus」は、昼夜を通じて庭園のランドマークとなった。
NEON
NEONはアート、建築、デザインのあいだに広がる領域を探究する、英国を拠点とするアーティスティック・プラクティスである。建築家マーク・ニクソンとヴィジュアル・アーティストのヴィリーナ・コイヴィストが主導する同スタジオは、感覚的・空間的・環境的な意識を通じて日常の体験を豊かにすることを目的としたプロジェクトを制作している。
世界各地の固有の場所に応答する作品を展開し、それぞれの文脈に特有の性質を引き出すことを重視している。作品の手法や外観はプロジェクトごとに変化するが、常に公共にとって意味のある体験を創出することに注力している。

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