展示概要

クリエイションギャラリーG8は、有山達也展「音のかたち」を2019年10月5日(土)まで開催している。有山達也は東京藝術大学を卒業。その後、中垣デザイン事務所を経て、1993年アリヤマデザインストアを設立。

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2002年の1号の刊行から2015年まで、76号に渡りアートディレクターを務めた『ku:nel』。現在、手がけている東京藝術大学発行の『藝える』、座・高円寺のフリーペーパー、北九州市発行情報誌『雲のうえ』といった広報誌をはじめ、文芸書、料理本、写真集、漫画など様々なジャンルのエディトリアルデザインを中心にキャリアを重ねてきた。編集者やライター、カメラマン、イラストレーターといった協働者と対話を重ね、それぞれの持つ力を効果的に引き出すアートディレクションや、独特のゆったりとした佇まいをもつレイアウト。

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さらに、デザインの仕事の傍ら、数千枚を超えるレコードとヴィンテージオーディオを持ち、音楽と密接に関わる生活を送る有山。東京で初めてとなる今回の個展で、有山がテーマに選んだのは「音」。音を生むレコード針とレコードの溝を接写レンズで捉えた写真家の齋藤圭吾の著書『針と溝』(本の雑誌社)。この写真集のエディトリアルデザインを手がけた有山は、制作に関わる中で、「音」には「かたち」があるのではないかと思ったと語る。

本展で有山は齋藤との協働による『針と溝』の世界をさらに進化させたヴィジュアル表現や、レコードの音を作り出すカッティングエンジニアやオーディオ機器を作っている人たちへの取材を通し、「音」の可視化に取り組む。目では「かたち」を捉えにくい、だがしかし空間に確かに立ち上がる「音」の世界を写真で、文字で、図像で表現する。有山によって可視化された「音」は、どんな表情を見せるのか。

音(楽)は空気が揺れて、それが耳から入り信号に変わり脳に伝わる。おっ、良い音だなとか、キンキンしているなとか、心地良いとか、うるさいとか、様々なことを感じる。何かを食べればおいしいとかまずいとか感じるように、音にもイノシン酸やグルタミン酸のような物があって、おいしい音、まずい音があるのかもしれない。
 高校生の時に初めてLPレコードを買い今もそれは続いているが、こう思うようになったきっかけは、『針と溝』(齋藤圭吾、本の雑誌社)を手伝ったことだった。そして、さらにその先を見てみたくなった。一体どうやったらレコードの中に音をつめこむことができるのか?!  こんな疑問がふつふつとわき出てきた。レコード針が通過する一瞬に、シンバルの音とベースの音をなぜ一緒に出せるのだろうか。いくら考えても凡庸な頭ではさっぱりわからない。レコード針がレコードをなぞり、微細な信号がアンプの中で増幅され、スピーカーが空気を振るわせ、それが音として耳に届き、心地良くなったり不快になったり。
 レコードの溝やレコード針を拡大したら音のかたちが見えるかもしれない。レコードに音を刻んでいる人たちに話をきいたら音を言葉にできるかもしれない。アンプを作っている人に話をきいたら信号がかたちになって現れてくるかもしれない。
 音(楽)とはどういうかたちをしているのかを探ってみたいと思う。          

有山達也

有山達也 Tatsuya Ariyama

1966年埼玉県生まれ。中垣デザイン事務所にデザイナーとして約3年勤務。1993年アリヤマデザインストア設立。エディトリアルを中心としたデザイン、アートディレクションを担当。第35回(平成16年)講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。ミームデザインスクール講師。東京藝術大学非常勤講師。

イベント概要

名称有山達也展 「音のかたち」
会期2019年8月27日(火)〜10月5日(土)
時間 11:00a.m.-7:00p.m
休館日曜・祝日
入場料無料
会場クリエイションギャラリーG8
〒104-8001 東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F TEL 03-6835-2260