「地球的課題」として大きな問題となっている食品ロスの低減に向け、宿泊ゲストにサービスを通して「食の循環」を訴求
“#捨てないステイ”プロジェクトは、「持続可能な開発目標(SDGs)」のターゲットにも掲げられ、早急に解決を図るべき課題として位置づけられている食品ロスに対しての意識向上を促進すべく、ホテルグレートモーニング博多とNPO法人循環生活研究所が協働し、ホテルの屋上でスタート。
プロジェクトは、ホテルで捨てられるはずだった生ごみを回収し、設置したコンポストを利用することによって完成した堆肥でミントやハーブなどを栽培を行う。収穫できたものをウェルカムドリンクや朝食などで提供し、100%循環型サービスを提供することにより高い付加価値を生み出し、ホテルの宿泊を通じて「食の循環」を実感できることを目的とする。
日本においての食品ロス現況と目標
日本国内では、年間2,759万トンの食品廃棄物等が出されていると言われ、この中で、食べることができるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は643万トンにもおよぶ。この量は、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量の2倍に相当すると言われる。
平成27年9月に国際連合で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で定められている「持続可能な開発目標(SDGs)」のターゲットの一つには、2030年までに世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させることが盛り込まれた。
ホテル業のフードロス事情が新たな付加価値を生み出すチャンス
飲食に特化したレストランとは異なり、ホテルではゲストのニーズに100%合った料理を提供することには高いハードルがある。日本人に好まれる梅干しや漬物といった食材は、必ずしも海外の方から受け入れられるものではない。消費者の食に対する意識は高まり、化学調味料や保存料を添加している食材は受け入れられなくなりつつある。一方で、新鮮で無添加の食材は保存が難しいなど、食品ロスが発生してしまうという悪循環が起きている。ホテル業の抱える世界共通の課題をチャンスと捉え、付加価値をつけて循環できる取り組みをスタートすることがホテルの責任であり、“#捨てないステイ”プロジェクトは、今後日本が率先して世界に発信できるチャンスである。
循環の仕組み
“#捨てないステイ”プロジェクトは、ホテルで出た生ごみをホテルで下記のように循環させる仕組みとなっている。