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チームラボが「トゥーランドット」の没入的なオペラ空間を創出

アート集団チームラボがセノグラフィーを手がけた、ジャコモ・プッチーニの遺作オペラ「トゥーランドット」新制作が、スイスのジュネーヴ大劇場でワールドプレミエを迎えた。本公演においてチームラボは、セノグラフィーの概念を超越し、光の彫刻空間によってオペラ空間を創り出した。キャストが光の彫刻空間に没入し、舞台と観客が境界なく連続する空間を生み出している。adf-web-magazine-teamlab-turandot-opera-giacomo-puccini-1

2022年6月20日の初演で大喝采を浴びた本公演は、7月3日まで7回にわたりスイス・ジュネーヴのジュネーヴ大劇場で上演される。

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光による立体的な彫刻空間がステージ上に現れる © Magali Dougados, Courtesy Daniel Kramer, Grand Théâtre de Genève, and Pace Gallery

舞台は回転する二つの側面で構成され、ひとつはトゥーランドットを頂点とする近未来的なディストピアのゲームショー。女が権力を握る世界では、男は女の遊び道具として着飾るか、女の下に監禁される運命にある。トゥーランドットに求婚する男たちは、クイズに参加しては負け、「花」をもぎ取られる——。それを見て興奮する民衆。チームラボは、光による立体的な彫刻空間をステージ上に創り、熱狂を煽る。その一方で、光の彫刻空間は時には霞み、繊細で抽象的なものとなって空間を静寂で包み込み、美と戦慄の瞬間を生み出す。

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光による立体的な彫刻空間がステージ上に現れる © Magali Dougados, Courtesy Daniel Kramer, Grand Théâtre de Genève, and Pace Gallery

ステージが回転すると、もうひとつの側面である、潜在意識の世界が出現。万華鏡のようなひし形の「心の部屋」は、美しく魅惑的でありながら、巧妙さと欺瞞を連想させる。ここでは、カラフが自身のコンプレックスや恐怖と向き合いながら、奇妙で混乱した万華鏡のような世界を進んでいく。

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万華鏡のような潜在意識の世界 © Magali Dougados, Courtesy Daniel Kramer, Grand Théâtre de Genève, and Pace Gallery

チームラボは演出のダニエル・クレーマーと共に、クレーマーの『トゥーランドット』解釈とチームラボのアートを融合させるセノグラフィーを構想。5年にわたってプランニングを重ね、コンセプト、新解釈、隠喩、象徴、そして各シーンの視覚的表現をどのように実現するかについて模索してきた。ステージデザインはチームラボ・アーキテクツが担当。シンプルでありながら力強い幾何学的なステージをプランニングした。回転するセットは、ガラスやアクリル、反射する表面、柔らかい白と伸縮する黒の組み合わせ素材を用いて制作。光の反射や吸収によって異なる視覚的体験をもたらす空間で、キャストたちは物語を展開していく。

teamLab 「トゥーランドット ジャコモ・プッチーニ作曲オペラ」公演概要

会期2022年6月20日(月) - 7月3日(日)
会場ジュネーヴ大劇場
指揮アントニーノ・フォリアーニ
演出ダニエル・クレーマー
URLhttps://bit.ly/3HN0SCw