アーティスト／スケーターKINJOの個展

OIL by 美術手帖ギャラリーは、KINJO個展「ARAKAWA GARDENER」を2020年11月5日（木）から11月18日（水）まで渋谷パルコで開催する。KINJOは東京都足立区に拠点にするアーティスト / スケーター。KINJOのペインティングのモチーフは「暗闇に光る目」「色とりどりの毒蛇」など、カウンターカルチャーに多く用いられる記号。これらの刺激的なモチーフは、描いては消しという往復の作業のなかで、アウトラインや色面が薄ぼけて曖昧で、なおかつ愛嬌のある姿に変化していく。このような制作は、抽象表現主義末期から登場したキャラクター抽象絵画の文脈に接続されて考えられるが、KINJOの場合は、記号やキャラクターが自身のポートレートのように「個人的な存在」に変容していくのが特徴となっている。

KINJO「ARAKAWA GARDENER」

個展「UNDER THE BRIDGE」（PARCEL、東京、2020）より

KINJOは、荒川の橋の下にスタジオを構え、制作を続ける。今回展示会のタイトルとなっている「ARAKAWA GARDENER」とは、KINJOのスタジオから荒川を挟んだ向かいの河川敷に、無許可でガーデニングを続ける老人からインスピレーションを受けて付けられた。行政から何度も退去を勧告され、台風の増水で流されても、その老人は変わらずに荒川の河川敷に桃源郷のような空間をつくり続けている。足立区の荒川沿いの地域に暮らし、橋の下にアトリエがあり、橋の下でスケートボードをして暮らしているKINJOの「半都市・半郊外」的な視点もまた、カウンターカルチャーのエッジーな概念を「緩やかな視点」で解体し、荒川の河川敷の風景に溶け込ませている。本展では、少年ジャンプを支持体にして「シリアルのパッケージ」を描いた作品などの新作のペインティングが発表される。

個展「UNDER THE BRIDGE」（PARCEL、東京、2020）より

個展「UNDER THE BRIDGE」（PARCEL、東京、2020）より

個展「UNDER THE BRIDGE」（PARCEL、東京、2020）より