都市の建築空間と個人との関係性を考える

SOM GALLERYでグループ展「no man's land」が2025年2月14日（金）から3月9日（日）まで開催される。キュレーションに侯米蘭（Hou Milan）を迎え、崔潔（Cui Jie）、Haburi、中村直人、寺本明志らが参加する。

展示タイトルにある「no man's land」という概念は、ハンナ・アーレントが『人間の条件』（1958年）で述べた閾的（しきい的）な空間に由来している。つまりパブリックにもプライベートにも属さない、両者の交錯や新たな関係性が生まれる場として機能するところを指している。近年の都市論・社会学においてもこのような中間領域の重要性が指摘され、商業施設のロビー、集合住宅における広場、オープンテラスなど、さまざまな形で私たちの周りに存在している。

本展では、都市の建築空間と個人との関係性に着目し、それぞれ独自のアプローチで制作を行う4名の作家を紹介。「no man’s land」という概念を通じて、統制の場としての都市建築に対し、アーティストたちがどのように個人的な経験や解釈を介入させるか、個人の記憶と都市発展に宿る政治性を多角的に考察する試みとなっている。