リアルタイム・インタラクティブ・没入型ストーリーテリングのアプローチを採用しフロリダの既知と未知を探求

2022年秋にオープンしたオーランド国際空港新ターミナルCのデジタルアートインスタレーションでは、モントリオールを拠点とするクリエイティブスタジオ・ジェンティルホルムが、高度なCGI、機械学習、実写、没入型水中映画制作、さらに巨大スクリーン上でリアルタイムに画像をレンダリングする3Dモーショントラッキング技術を使って、何時間もかけてオリジナルコンテンツを作成した。この体験は、空の旅の喜びと驚きを取り戻す思いがけない魔法の瞬間を提供することで、乗客と空港の関係を見直すものである。

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The Moment Vault
Photo credit: Maxime Roux

「セントラルフロリダの知られざる姿」をテーマに、クリスタルリバーで泳ぐ水中マナティーやスペースX社のロケット打ち上げなど、さまざまなオリジナルコンテンツが用意されているほか、広大な牧場やオーランドのダウンタウンなど、あまり知られていない美しい景色も紹介されている。結果として、ターミナルCを通過する年間6000万人の乗客は、滞在時間、時間帯、季節を考慮し、乗客の旅に基づきキュレーションされ、スケジュールされた70以上のビデオヴィネットを発見することができる。

モーメント・ヴォールト(The Moment Vault)

パームコートの中央に位置し、出発するすべてのゲストが集うメインスペースであるモーメントボールトは、象徴的なセンターポイントとして機能している。このインスタレーションは、3つの変形する庭のような外壁でデザインされている。これらの自然の壁は、火星の風景、マナティー、ホタル、魚と一緒に泳ぐ360度のインタラクティブな世界にゲストが没頭できる様、内部まで入れる仕組み。コンテンツは3つの湾曲した壁の両側にある2,979平方フィートのLEDパネルに広がっている。最大30人の全身を使ったユーザーの動きが3Dでリアルタイムに追跡され、スクリーン上でインタラクティブなシルエットに変換され、共同作業、参加型、没入型の体験ができるようになっている。自然をモチーフにしたフォトリアリスティックなコンテンツは、テクノロジーの魔法を使い、ストレスの多い環境に静寂と平和をもたらし、空港をオアシスへと変貌させるとともに、建築物とシームレスに融合している。

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Palm Court
Photo credit: Maxime Roux

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Manatees
Photo credit: Maxime Roux

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Bioluminescence
Photo credit: Maxime Roux

オーランドへの窓(Windows on Orlando)

パノラマのように広がるデザインで、空港の建築とシームレスに融合する建築要素として、コア・アイデンティティを表現。高さ32フィート、幅114フィートの3連のスクリーンは、3つの窓からオーランドを象徴する魅惑的なシーンが広がるかのような錯覚を与える。ジェンティルホルムの社内撮影監督と現地の制作チームは、空港から半径50km以内の20カ所以上で、12K解像度のカメラを使って撮影を行った。

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Windows on Orlando
Photo credit: Maxime Roux

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Beach
Photo credit: Maxime Roux

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Highwaymen
Photo credit: Gentilhomme Studio

ポータル(Portal)

2023年に到着・出発エリアに登場予定のこのインスタレーションは、らせん状の構造物の外側と内側が4つのフロアに32の高解像度スクリーンで360度展開する多数のスクリーンで覆われる形となる予定。

空港への到着と出発は、その都市を訪れる人の最初で最後の印象となるものです。そのため、私たちの役割は、忘れられないエンブレムを作るために、それぞれの作品のアイデンティティと歴史を定義し、空港のアイデンティティを定義することでした。私たちの目標は、常にテクノロジーを見えなくすることで、観客に完全な畏敬の念を抱かせることです。

- Gentilhomme社創設者兼CEO、オーランド国際空港ターミナルCのマルチメディア指令のクリエイティブ・ディレクターティボー・デュヴェルネ -

ジェンティルホルム(Gentilhomme)について

ジェンティルホルムは、2014年にディレクター兼マルチディシプリナリーアーティストのティボー・デュヴェルネによって設立された、魅惑的で魅力的な没入型環境を専門とするマルチメディアスタジオ。歌手のシャルロット・カルダンのフェニックス・ツアー(2022年)や歌手のティエラ・ワックのフィルムアルバム『Whack World』(2019年)など、観光地やエンターテインメント業界向けのインタラクティブなインスタレーションやライブショーの企画、演出、制作を行うほか、オーランド国際空港(2022年)やナッシュビル国際空港(2023年)などの交通機関向けのクリエイティブ・マンデート、モントリオールのカルティエ・デ・スポルタルで発表した公共空間のアクティベーション「POP!(2019)」で都市の幸福と魅力のために、世界各地で巡回している。