銀座Gallery Hayashiにて太田桃香と山下源輝による抽象絵画と立体作品が展示
銀座のアートギャラリープロジェクトGALLERY HAYASHI + ART BRIDGE が主催する2人展「Abstracting the Reality」が2023年4月7日(金)から23日(日)まで開催される。本展では、2人のアーティスト、太田桃香と山下源輝による抽象絵画と立体作品を紹介する。
展覧会名「Abstracting the Reality」は、まさしく本展示に並ぶ現実を抽象化した作品たちを意味する。抽象芸術の歴史は1910年代にワシリー・カンディンスキーによって初の試みがなされ、その後は第二次世界大戦後のヨーロッパでアンフォルメル、またアメリカでは抽象表現主義として動向を形作られて行きた。二度の大戦による不安定な社会情勢の中で編み出された既成概念や、常識では捉えられない前衛的な表現の在り方は、現代美術の基盤となっている。そして近年では、現代の作家たちにより、具象・抽象の分類を越え、より絵画の本質を抽出し、それらをレイヤーとして表現するようになってきている。
太田は、美術史の中でもモチーフとして多く描かれてきた山をはじめに、彼女自身の生活や日常を題材として芸術活動を行なっている。山と自身の制作活動に親和性を抱き画面に向き合うことで、山や日常に在る情景を描くと同時に彼女自身の生活を表している。キャンバスを主なメディアとし、風景からレイヤーを抽出した抽象絵画は、鑑賞者それぞれに依存し抽象芸術の崇高さを見ることができる。
山下は、木炭やクレヨン、油、さらに生活品から出る廃材などの多様な素材の可能性を探りながら、絵画やドローイング、彫刻といった作品制作を展開している。画面に直接触れるように線や面を描くことで、画面との距離、描くという行為の身体性が画面に残る。画面上に蓄積されたメディウムは、巡る中に溜まる水溜りのようであり、制作過程における予測不可能な現象や不安定さ、そして必然や偶然を孕みながら作品として形成される。 山下の手仕事による時間の蓄積を纏うことで、作品は人為によって生じる佇まいや形容を含み、重量感を有する。
太田桃香 (Momoka Ota) プロフィール
1997年静岡生まれ。2020年京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)美術工芸学科油画コース卒業。2022年愛知県立芸術大学大学院美術研究科(博士前期)美術専攻油画・版画領域修了。スタジオ航大(茨城県)を拠点に活動中。主な展示に、「WHAT CAFE EXHIBITION Vol.24」 (2023年 WHAT CAFE, GALLERY HAYASHI + ART BRIDGE 東京)、「太田桃香作品展」 (2022年 銀座 蔦屋書店 東京)、「ARTISTS’ FAIR KYOTO2021」(2021年 京都府京都文化博物館 京都)
山下源輝 (Genki Yamashita) プロフィール
1998年 元住吉生まれ。2022年多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。鳥沢駅の近くにあるアトリエを拠点として活動を行う。キャンバスをメインとしながら、土や木を使った立体作品、ドローイングなどを制作している。物へ加わる人為や現象によって生じる佇まいや形容を探り、物から絵画のような物へと変貌させる制作を行う。主な展示に、「3331 ART FAIR 2022」(2022年 3331 Arts Chiyoda, GALLERY HAYASHI + ART BRIDGE 東京)、「ad sem ble」 (2021年 room_412 東京)、主な受賞歴に、多摩美術大学卒業制作展優秀賞、gallery美の舎学生選抜展奨励賞。
「Abstracting The Reality」開催概要
会期 | 2023年4月7日(金)~4月23日(日) ※会期中無休 |
会場 | Gallery Hayashi |
時間 | 11:00 - 19:00 |