「ADFデザインアワード2023」最優秀賞受賞の益子一彦さんのインタビュー
青山デザインフォーラム(ADF)主催の「ADFデザインアワード2023」の審査結果が2023年3月に発表されました。今回は、栄えある最優秀賞(Best Performance Award)に輝いた益子一彦さんをインタビュー形式でご紹介します。受賞作品「砺波図書館」の設計秘話や、ご自身にとっての建築表現などについて語っていただきました。
普段どのような領域の建築をされていますか?
図書館建築や学校建築を数多く手掛けてきました。現在もそれらがメインになっています。その他には自動車ディーラーのショールーム、最近では屋内型の子どもの遊び場等も手掛けています。
受賞作品はどのような背景で作られましたか?
プロポーザルで選ばれました。プロポーザルには単独で参加しようと考えていましたが、地元の押田設計からオファーがあり、JVで参加することにしました。
苦労した点は何でしょうか?
国土の狭い日本でも、地域によって気候風土が大きく異なります。作品のある富山県は日本海に面し、冬季の積雪の多い所です。昨今の気候変動の影響もあり、積雪量は少なくなっていますが、1.5m程度の積雪が観測されることがあります。散居村という集落の成り立ちと東立ちという家屋のつくり方は、気候風土に適した住環境をつくる先人たちの知恵に倣うことにしました。
アワードを受賞した感想はどうでしょうか?
とても光栄に思います。
益子さんにとって、建築表現とは何でしょうか?
建築の大きな役割は、その場所に特記を与えることだと考えています。土地に対する敬意をはらいながら、そのことを実践したいと思っています。建築は土地の生命と比較すれば、極めて短いものです。だからこそ、例え小さな建物であっても、それが建つ以前よりもその土地の価値が上がるような建築とすることを心掛けています。
今後のどのような活動を展開されていきますか?
より幅広いジャンルの建築を、より広い地域で実現させていきたいと思っています。
ADFアワードについてどのような感想をお持ちですか?
たいへん素晴らしい取り組みに敬意を表します。
2023年4月18日からのイタリア、ミラノでの受賞作品展示の見どころを教えてください。
私たちの建築は、とても日本的です。同時に、コスモポリタンでありたいと思っています。
改めまて、最優秀賞受賞、誠におめでとうございます。作品は2023年4月18日から開催されるミラノサローネ期間中にフォーリサローネのADFの会場で展⽰される予定ですので、ミラノに行くチャンスがある方は是非会場で作品をご覧ください。また授賞式・受賞パーティーの様子なども今後のニュースレターでご案内いたします。