黒川紀章の「カプセルハウスK」を保存活用。5月に公開、6月に宿泊可能に。
工学院大学の建築学部鈴木敏彦研究室は、MIRAI KUROKAWA DESIGN STUDIOと共同し、黒川紀章設計の「カプセルハウスK」(長野県)を保存活用する「カプセル建築プロジェクト」を始動する。昨今のコロナ禍では、テレワークやリモートワークの需要が高まり、カプセル的な場所や空間の需要が高まっている。今こそ、カプセル建築と黒川紀章の思想を再考すべきと考え、活動を展開していく。「カプセルハウスK」は、5月から公開、6月から宿泊を予定している。
日本を代表する建築家、黒川紀章(1934-2007)。1970年の大阪万博ではカプセルを用いたパビリオンを発表し、1972年には東京・銀座でカプセル型の集合住宅「中銀カプセルタワービル」を竣工した。これらの「カプセル建築」は、住人のライフスタイルや用途に合わせてカプセルごと交換する画期的なコンセプトと共に世界的な話題となった。「カプセルハウスK」は、同氏が1973年に長野県北佐久郡御代田に自分の別荘として建てた建物。2019年からは長男の黒川未来夫が所有し、修繕と維持管理を行っている。
工学院大学の鈴木敏彦教授(建築学部建築デザイン学科)は1984年から1990年に黒川紀章建築都市設計事務所に勤務し、同氏の薫陶を受けた。カプセル建築に関する研究は鈴木教授の研究室において進化し、現代的なダンボール製スリープカプセルの開発にもつながっている。「カプセル建築プロジェクト」では、「カプセルハウスK」の動態保存活動を行うとともに、カプセル建築を再評価し、現代的意義を世に問う。今後は、2021年5月に「カプセルハウスK」を公開し、6月からは宿泊施設として一般公開すべく、準備を進めている。