雄大な自然を背景に森の中の隠れ家で農業体験ができるアグリツーリズムプロジェクト

カナダのモン・トランブラン国立公園の雄大な自然に囲まれた渓谷のそばにひっそりとたたずむ隠れ家とカフェ、農園から成るアグリツーリズム施設「Farouche Tremblant」。手つかずの自然が色濃く残るケベック州ローレンシャン地方のおよそ100エーカー（約40万㎡）の土地に建設された同施設は、訪れた人々に特別な農業体験を提供する。デザインは、ウェルネスを重視した環境づくりを得意とするモントリオールの建築事務所L'Abriが担当している。

cabin camp, Photo credit: Raphaël Thibodeau

スペリオル湖道の北側には、農業体験のための事務所となる納屋が設置された。グリーンハウスのトンネルを抜けて、小さなオーガニック野菜農園や花畑、休耕地へアクセスできる。また、農園事務所の裏から始まるハイキングトレイルは渓谷の絶景へと導いてくれる。

Farouche Tremblant and the Devil's river, Photo credit: Raphaël Thibodeau

nordic farm, Photo credit: Raphaël Thibodeau

川沿いの道の南側には、カフェを中心とした集落が広がる。このメインとなる建物の入口には、野菜農園で採れた季節の野菜やチーズ、ビール、ワインなどの地元産のプロダクトが並ぶ小さなマーケットがあり、訪れた人々を温かく歓迎する。ダイニングエリアとキッチンは誰でも利用することができ、簡単に農場のプロダクトを料理して味見することができる。

café-bar, Photo credit: Raphaël Thibodeau

café-bar, Photo credit: Raphaël Thibodeau

川に開けたカフェラウンジの西側の大きな窓からは、モン・トランブランの山々と、ローレンシャンの山頂に沈む夕日の眺望を楽しむことができる。部屋の中央に置かれたウッドストーブのたき火が、変わらない自然の姿を楽しむ人々を暖かく照らす。大聖堂のような屋根に覆われた中二階のスペースは、静かでくつろげるリビングルーム空間となっている。木炭色のスチール屋根と、ヘムロック（針葉樹）を材料としたサイディングボードの外壁は、質素な材質を活かした伝統的な納屋をイメージしている。

café-bar, Photo credit: Raphaël Thibodeau

カフェの南側には、スギの屋根板が特徴的な小さなキャビンが点在する。曲がりくねった道で繋がるキャビンはランドスケープの奥深くに有機的に配置され、川のせせらぎに癒されながら手つかずの自然に没入する感覚を与えてくれる。4軒の隠れ家にはそれぞれキングサイズのベッドとソファ、そしてガスストーブがコンパクトに配置され、ミニマリストの本質を追究している。

cabins, Photo credit: Raphaël Thibodeau

cabin, Photo credit: Raphaël Thibodeau

川に上る朝日から月夜に浮かぶキャビンなど、「Farouche Tremblant」が一日を通して魅せる様々な表情が、写真家Raphaël Thibodeauによって美しく捉えられている。

cabin, Photo credit: Raphaël Thibodeau

cabins, Photo credit: Raphaël Thibodeau

 L’Abriについて

L'Abriは、モントリオールの建築設計事務所。デザインビルド方式によるアプローチで、ターンキープロジェクトを提供している。環境に配慮した、サステイナブルな建築に特化し、革新的なソリューションでウェルネスを重視した環境づくりに取り組んでいる。