メビウスの帯に着想を得たデザインで展示・ウェルネス・自然を森の中で融合

建築設計事務所・ATRIUMが従来のプライベートガレージの概念を刷新する多機能な建築として「ガレージ・フォー・カーコレクション」を完成させた。この200平方メートルの建築は単なる保管場所ではなく、自動車のキュレーション展示空間、フィットネス施設、さらにはビジネスミーティングの場を兼ね備えたハイブリッドな環境として構想されている。

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Garage for car collection
Photo credit: ATRIUM

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

本プロジェクトは2000年代初頭にATRIUMが手がけた邸宅およびゲストハウスを含むプライベート・エステート内の森林地に位置し、既存の建築群を拡張するものとなっている。新たなガレージは、敷地全体の建築言語との連続性を保ちながら、現代的な空間構成と素材表現を導入している。

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

設計の核となるのは、メビウスの帯に着想を得たリボン状のフォルムであり、敷地を流れるように取り巻きながら既存の樹木をすべて保存している。この連続的な構成がプログラムを立体的に編成し、地上階にはドライブウェイから直接アクセス可能な透明性の高い展示空間が配置される。そこから建物は斜めに立ち上がり、屋上には屋外エクササイズのためのテラスが設けられている。さらに地下には、ジムおよびオフィス機能が収められ、控えめな開口部を通じて自然光が取り込まれる。

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

北面および南面には、極めて薄いフレームを持つ大開口のガラスファサードが採用され、内部と外部の境界を曖昧にしながら、周囲の森林との一体性を強調している。外装には継ぎ目のない白いコーリアン製の外装材が用いられ、自動車の空力的なフォルムや精密さを想起させる一方、内部では木材や銅といった素材が温かみと触覚的な質感を付与している。

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

機能面においては、建築は多層的な空間システムとして構成されている。地上階は明るい展示ギャラリーとして機能し、上部のテラスは身体活動を支え、地下階にはウェルネスおよび管理機能が配置される。これらの空間を結ぶ動線は、建築の彫刻的な形態に導かれ、直感的かつ体験的に設計されている。

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

環境への影響を最小限に抑えて建設された本プロジェクトは、生態学的価値の高い地域における建築のあり方を示している。コンパクトな建築面積、地下への展開、そして樹木を保存する配置計画は、成熟した森林環境との共存を可能にするアプローチを体現している。

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

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Garage for car collectionPhoto credit: ATRIUM

本プロジェクトは国際的にも評価されており、World Architecture Festival 2025(世界建築祭)において「完成建築部門―トランスポート」および「スモールプロジェクト賞」の2部門でファイナリストに選出されている。

ATRIUM

ATRIUMは、Anton NadtochiyとVera Butkoによって1994年に設立された国際的な建築設計事務所。公共施設、教育施設、交通インフラ、個人住宅など多様な建築類型を手がけ、コンセプトの厳密さとコンテクストへの高い感受性によって知られている。その設計は、技術、エコロジー、社会的機能の交差点を探求しながら、革新性と文化的共鳴のバランスを図る点に特徴がある。