天井高5mに存在感のある巨大なアートを展示

アジア最大級のオンラインギャラリーを運営するタグボートは、2023年2月10日(金)に東京都中央区の人形町に新ギャラリーをオープンする。初回の展覧会は、小野海と三塚新司の二人展「curve」で、2023年2月10日から2月25日まで開催する。小野海は高さ約2.7m、三塚新司は高さ約2.5m、幅約6.5mの巨大な作品を展示。天井高約5mという圧巻のスペースを誇る新ギャラリーだからこそできる、大迫力の展示で観賞する人たちを迎える。adf-web-magazine-two-person-exhibition-curve-1

タグボート新ギャラリー 杮落し展覧会「curve」

タグボートは日本初の現代アートのオンラインギャラリーというイメージがあり、ECのプラットフォームと思う人が多いが、近年、阪急メンズ東京に常設ギャラリーを設置したほか、各地でアートフェアを主催することに力を入れるなどし、現在ではその規模は日本で最も大きい。リアルスペースを運営する上で特に感じているのは、ギャラリーの空間はアーティストの展示に大きく影響するということ。今回新設されたギャラリーが持つ最大の特徴は5メートルの天井高であり、杮落しとしてはそのスペースで最大限に実力を発揮できる作品を見せたいと思い、二人のアーティストを選んだ。小野海は2022年に東京藝術大学大学院を卒業したばかりの期待の新星で“日常生活の中で自然と人が交わる瞬間”に着目した「Prism Series」という立体作品制作を展開してきた。高さ2.7mの彫刻《Prism-Rainbow Mountain》は、聳え立つ岩や生き物を思わせる形状にアクリル毛糸が丹念に貼り込まれ、一度見たら忘れられないインパクトを持つ。まばゆい極彩色の毛糸による線は、ある地点から見ると整然と平行に並び、立体だったはずの作品が平面的に見える錯視を引き起こすのだ。三塚新司によるバナナの皮を模した作品の「Slapstick」というタイトルは、道化芝居で役者を打つのに用いた棒から転じ、体をはったスタイルのコメディを指す。巨大なバナナは社会の矛盾や違和感を作品化している。コロナ禍における日本独特の閉塞感は政治や社会がすべっていることであり、それを嘲笑するかのように巨大なバナナが存在する。岡本太郎現代芸術賞展にて岡本敏子賞及びオーディエンス賞を受賞したこの作品が天井の高い空間に悠然と横たわる姿を実際に観ることができる。二人の作品はどちらも有機的な曲線を持ち、直線で構成されたホワイトキューブに対してそれぞれ独自の手法で切り込む。二人の作品はどちらも四角いホワイトキューブに対して歪曲したカーブの立体作品をメインに展示しており、これは四角四面の「なにかあったらどうするんだ症候群」に陥っている世の中に対して警鐘を鳴らす「curve」が必要であることを世の中に問う展示となることを願ってやまない。

小野海

1995年兵庫県生まれ。2022年東京藝術大学大学院彫刻専攻修了。日常生活の中で自然と人が交わる瞬間に着目し、SNS・メディア社会における彫刻の新たな可能性を探り制作している。近年展開するアクリル毛糸を用いた立体作品「Prism Series」は、極彩色の色遣いや錯視の効果が駆使されており、空間全体を揺るがすような圧倒的存在感を放つ。立体の輪郭線をなぞるようにして貼り込んだ毛糸は、小野が作品に注ぐ視線の痕跡そのもの。まるで「目で彫刻を触る」かのような実感を伴う、新たな鑑賞体験をもたらす。本展では東京藝術大学2020年度卒業制作展で発表した高さ270㎝の立体作品《Prism-Rainbow Mountain》を展示。同時に展示される予定のドローイングでも、小野の立体制作に対する姿勢の一端が窺える。

三塚新司

1974年長野県生まれ。東京藝術大学先端芸術表現科に油絵科受験にて入学。卒業後、同大学大学院中退。子供番組の放送作家、雑誌編集者、テレビ局ディレクターを経て、2018年より作品制作を開始。本展では2022年岡本太郎現代芸術賞展にて岡本敏子賞・オーディエンス賞を受賞した幅約650㎝・高さ約250㎝の大作《Slapstic》を展示。新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに生まれた本作品は、人々が発展する社会の中で豊かさと引き換えに大きなリスクを負ってきたのではないか、かつそのリスクは共同体と個人の日常の中に巧妙に隠されているのではないか、という三塚の疑念を具現化している。豊かに膨れ上がった巨大なバナナの皮を模した作品は、そのサイズに見合う巨人が滑って転倒することを予感させ、その様相はまるで皮肉めいたSlapstick=喜劇のようである。

小野海 三塚新司 二人展「curve」開催概要

日程2023年2月10日から2月25日まで
場所新本社オフィス及びギャラリー(東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町1階)
時間11:00 ~ 19:00
休廊日・月・祝