永井敬二コレクションと書店の歴史が交差する没入型インスタレーション
福岡市博多区のBUNSHODO HOTELで、インテリアデザイナー永井敬二のコレクションを体験する特別展示が2026年5月12日から7月31日まで開催される。会場は旧書店「文照堂」の跡地に建つホテル空間で、宿泊と展示を横断する形式で展開する。本企画は、ニューヨーク近代美術館所蔵プロダクトを含む名作椅子やデザイン書籍を、ホテルの客室という私的空間に配置することで成立する。ガラス越しに鑑賞する従来の展示とは異なり、実際に椅子に座り、書籍を手に取りながら過ごすことで、身体的にデザインを体験する構成となっている。
書店の記憶とコレクションの継承
BUNSHODO HOTELは、かつて地域の知的基盤であった書店の記憶を継承する場として計画された施設である。本展示は、半世紀にわたり収集された永井敬二のコレクションと、この場所が持つ文化的背景を重ね合わせることで、記憶の継承を空間的に可視化する試みである。永井敬二は1948年佐賀県生まれのインテリアデザイナーであり、世界的な椅子コレクターとして知られる。約25,000点に及ぶコレクションは、デザイン史における重要な資料であると同時に、使い手と作り手の思想を伝える文化資産でもある。
二つの体験形式
本展示は「ホテルステイ」と「ライブラリー」の二つの形式で構成される。ホテルステイでは、1日1組限定の客室を「デザインの書斎」として設え、宿泊者が名作椅子と書籍に囲まれて一夜を過ごす。照明環境や静寂の中で、プロダクトの造形や質感を身体的に体感することができる。一方、ライブラリー形式では客室を展示空間として開放し、30分単位の完全予約制で公開する。プロダクトは保護のためアクリル越しでの鑑賞となるが、一部の書籍は実際に手に取ることができ、デザインの背景や歴史に触れることが可能である。
名作椅子と空間体験
展示にはRay KomaiによるSide Chair、Charles & Ray EamesによるAluminum Group Management Chair、Mies van der RoheによるMR Chairなどが含まれる。これらの名作は単なるプロダクトではなく、時代背景や思想を内包する存在として提示される。来場者はホテルという日常的な空間の中でそれらと対峙し、使用することで、デザインの記憶を身体的に読み解いていく。
永井敬二(1948-2024) プロフィール
インテリアデザイナー・蒐集家 。1948年、佐賀県唐津市生まれ、福岡市を拠点に活動。岩田屋関連会社の家具事業部を経て、1982年に「ケイ アンドデザインアソシエイツ」設立。 インテリアデザイナーとして活動する傍ら、椅子やデザインプロダクトのコレクションの展示を通じて、国内外の文化交流に貢献し、デンマーク王国より「Furniture Prize」を受賞。近年では、ATELIER MUJI GINZAにて計6回 の展示に出品協力。半世紀以上をかけ世界中から蒐集 したコレクションは、推定25,000点を超える。
都市へ拡張するデザイン体験
会期中には福岡市内各所を舞台とした「名作椅子のエクスペディション」も同時開催される。都市空間に点在する椅子を巡ることで、展示体験はホテル内部から街全体へと拡張される。本企画はコレクションの保存と活用を両立させながら、体験を通じてデザインの価値を再発見する試みとして位置づけられる。
BUNSHODO HOTEL 特別展示「永井敬二コレクション」開催概要
| 会期 | 2026年5月12日から7月31日まで |
| 会場 | BUNSHODO HOTEL |
| 入場 | 1,200円(ワンドリンク付) |

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