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3名のアーティストが表象と実存のあわいを照射するグループ展

VACANT ROOMで吉田桃子、山本和真、西村昂祐によるグループ展「透視荒野」が2025年9月20日から10月19日まで開催される。本展はイメージが単なる視覚的再現にとどまらず、不可視の実存と接触する場として機能するという哲学的視座を起点に3名のアーティストがそれぞれ異なるアプローチで表象の限界とその可能性を探究するものである。 adf-web-magazine-transparent-wilderness-3

表象と実存の裂溝に立ち現れるイメージの諸相

世界を視覚や言語を通じて捉える際、形象や記号といった制度的枠組みに依拠して対象を理解している。しかしその背後には、いかなる記述にも還元されえない実存が潜んでいる。ジャン=リュック・ナンシーは『イメージの奥底で』において、イメージを「不可視なるものの明証」と定義した。本展は、そうした視覚と不可視のあわいに焦点を当て、3名の作家がそれぞれ「流動性」「両義性」「不完全性」という三様態を通して、イメージと存在の裂溝に切り込む。adf-web-magazine-transparent-wilderness-2adf-web-magazine-transparent-wilderness-4

吉田桃子

吉田桃子は記憶や郷愁、フェティシズムに触発されたイメージを立体マケットへと置き換え、動画撮影を経て特定の一コマを静止画として描画する複数のメディア変換を行う。このプロセスにより、平面と立体、静と動の境界が溶け合い、虚構と現実が交錯する独自の世界が立ち上がる。登場する人物像は国籍・ジェンダー・時代性といった固定的属性を脱ぎ捨て、普遍的な存在の輪郭として現前する。肖像ではなく、時代の感性を反映した匿名的なイメージの生成である。

山本和真 

山本和真は図像や記号の引用によって既存の意味体系を解体し、異なる時代性や文脈を帯びたイメージ同士を交差させることで、新たな関係性を生み出す。古代儀式や商品パッケージ、低解像度映像の断片といったイメージが画面上に混在し、二元論的構造を揺るがす。図像は固定された文化的記号ではなく、可変的な構造として機能し続けるものであり、その生成と逸脱の往還は、意味や機能を脱臼させ、純粋な視覚的経験へと開かれていく。

西村昂祐

西村昂祐はデカルコマニーの技法を用いて物質の反応を通じたイメージを生成する。圧力や剥離の角度、絵具の粘性といった要素が複雑に作用し、画面上に割れや滲み、膜の厚みなどの現象を刻印する。こうした形象は再現を目的とした輪郭ではなく、物理的刺激の痕跡として現れる。観賞者は記号としての認識と、物質的な触知性とのあいだで引き裂かれる視覚経験を強いられ、意味作用から解放された絵画の新たな地平が示唆される。

「透視荒野」開催概要

会期2025年9月20日(土)から 10月19日(日)まで
会場VACANT ROOM 
URLhttps://tinyurl.com/44z5v6m6