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新進気鋭の若手ペインター 菅雄嗣の個展がMAHO KUBOTA GALLERYにて開催

MAHO KUBOTA GALLERYにて、若手ペインター 菅雄嗣の個展「liminal」が2023年5月26日(金)から6月24日(土)まで開催される。

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Imitation room -paris texas- #1 2023 Oil and urethane on panel 65.7×116.7cm

「liminal 」は「境界」や「域値」を示す言葉だが、コロナ渦においてはこの言葉から「liminal space」というミームが派生した。このミームは現実と非現実の間を行き来するような不可思議な空間を指し示している。例えば、本来であれば大勢の人が行き交う空港や駅に人が不在の状態、またはかつて人の営みがあったであろう建築物が捨て去られ廃墟となった状況、確かに存在しているものの実際にアクセスすることは難しい地下施設等がそれにあたる。あるいは、そういった場所を模した想像上の空間も「liminal space」と捉えてもよいのではないだろうか。

かねてより人は不在の空間や闇、廃墟に美を見出してきたが、それを補完する形で生まれた新しいミームに魅了された菅は、不確かで非現実的な光景を主題に本展の新作に取り組んでいる。個展の新作の中には、画面をまず鏡面に磨き上げ、そこにモノクロームの絵具を加え、次に絵具を削りとり描画してゆく菅の代表的な手法のペインティングがある一方で、さらに進化した形態として削り取った絵具をタブローの別のスペースに移動し構成してゆく試みも見られる。アクセスが難しい場所、或いは存在しないものの質感を求め新作に向かい合う中、アーティストは「liminal」という言葉そのものを描く実践にも取り組んでいる。さらにはコンピュータ上で仮想空間を作り、実際には存在し得ない世界を描く初めての挑戦も見られる

生成型AIが急速に一般化する2023年において、人のイマジネーションの質量はどのような手触りを残すことができるのだろうか。現代アートにおける鑑賞の魅力のひとつである、作品と対峙した時に感じるある種の物質的違和感。鑑賞者の知覚を揺さぶる一方で、静謐な存在感を持って立ち上がる作品群に期待が膨らむ。

菅 雄嗣 プロフィール

1988年長崎県生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程油画専攻修了。モダニズム建築を想起させるような静謐でソリッドな構造を絵画に取り込むことで、空間のこちら側とあちら側を意識させ、現代における空間主義的な実験を繰り広げている。絵画の全面に鏡面を施し、そこに均一に絵具を載せたあと、絵具の一部を削り取って対象を構成していくネガポジ的な表現も印象的な若手ペインターである。

菅 雄嗣 「liminal」開催概要

会期2023年5月26日(金) - 6月24日(土) ※日・月および祝日は休廊
会場MAHO KUBOTA GALLERY
時間12:00-7:00pm
入場無料