ありふれた景色を銀幕の向こうにあるように描く
アートサロンSCÈNEで長島伊織の個展「Tone」が2024年3月8日(金)から月29日まで開催される。長島伊織の描く作品は、溢れ出る物語の香りから彼の作品だとわかるが、作品から受ける印象は見るたびに異なる。ある時は巨匠が描いた様な重厚感を持ち、ある時は等身大でフレッシュに。ブレとも違う、技法も含めた意図的とも思えるような強い意志を持って探求をしているバランス感覚を感じることができる。
学生の頃から多くの大人に囲まれて仕事をはじめ、その日々をずっと誠実に力強く作家であり続けてきた長島伊織。これを可能にしたのは強靭な精神力と信念からであるかもしれないが、長島の言葉の中にそれらだけに留まらないない自由で純粋な心が見える。
展覧会に寄せて
今回の展覧会のテーマはタイトルにもあるToneです。Toneは主に音楽や芸術で用いられる調子という意味で、この言葉が日常や自分の制作にとても関わっていると思いつきました。私はToneという言葉は曖昧で抽象的な印象を持っていて、細かいニュアンスを言葉で説明することが難しいのではないかと思っているのですが、芸術や音楽など視覚や聴覚、体感を通してこの言葉を使うことがたくさんあるなと気づきました。日常のイメージの中から特に感情的なことや体感について絵を描いているのですが、今はこの言葉を持って制作をすることがとてもしっくりきています。私の描くモチーフはそのほとんどが人々やその影ですが、そこに安心感のある孤独感を感じています。時間が過ぎ去っていってしまうことが寂しくて、キャンバスにその形を写しとりたいと思って描き始めるのですが、自分は絵が描きたかったのだと気がついて描いたり消したりしていくと少し絵が動き始めます。
写しとりたい気持ちと絵を描きたい気持ち。現実世界と絵の中の世界。何度も往復します。
今回の展示ではその往復することをToneとしてテーマにしています。
長島 伊織
長島伊織個展「Tone」開催概要
会期 | 2024年3月8日から3月29日まで |
会場 | SCÈNE |
時間 | 12:00 ~ 18:00 |
入館 | 無料 |
URL | https://scenetokyo.com/ |