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自作のスリットカメラを使用した作品づくり

白井晴幸の個展「景色の光線|新しい影」が、学芸大学のアートブックストア「BOOK AND SONS」、自由が丘のギャラリー「hIDE GALLERY」において2023年8月5日(土)から27日(日)まで同時開催される。

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白井晴幸は、スポーツのゴール判定で使われる技術を備えた自作のスリットカメラを用い、日常の風景を撮影した写真作品で知られている。スリットカメラは本来、条件の整った環境でのみ効果を発揮するカメラだが、1枚を撮影する時間ではレンズの前を通り過ぎただけの被写体は異端なノイズとして線状に生み出される。この特異な景色を白井は「景色の光線」と呼んでいる。

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本展ではこの「景色の光線」シリーズのほかに、「景色の光線」から派生した3Dプリントを使用した立体作品「新しい影」も展示される。

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ステートメント

「景色の光線」は、通常の写真とは異なったパースペクティブが展開されます。撮影に使用した自作の改造フィルムカメラは、いわゆるスリットカメラと呼ばれる技法と同じく、主に速さを競う競輪や競馬といった運動競技のゴール判定に使用される技術です。
本来ならば条件の整った環境でその機能を発揮します。しかし、都市の中へ無作為にレンズを向けてみると、被写体を歪ませ、引き伸ばし、消し去るといったノイズが生じ、条件にあった被写体しか写し出すことができません。偶然性を頼りにするこのカメラで捉えることのできる世界は極めて限られています。しかし、写真機に与えられた条件を異化することで生じたノイズは、日常の膨大な情報の中から掬い取る無意識と偶然から、想像することの手段を与えてくれるように思います。

「新しい影」では改造した4×5インチのフィルムカメラによって獲得したイメージから、立体物への再現を試みます。一枚の静止画像からAIによる3次元のデータ化を経て、3Dプリンタにより立体へと展開していきます。

白井晴幸

東京生まれ。多摩美術大学卒。自身の出身地である東京郊外の森に、実在した部族や寓話、写真史などをモデルにした架空の部族を出現させたシリーズや、改造したスリットカメラを用いた特異な時間の風景を現すシリーズなど、技法やシチュエーションを創造し、独自のアプローチによって写真を考察する。写真が持つ記憶の文脈を解体・再構築によって、写真の新たな風景を探求している。本に『PANORAMA』『KANI WAS RED, AND STILL RED』(いずれも白井晴幸事務所刊)主な作品提供に「愛が挟み撃ち」著者:前田司郎氏 (文藝春秋刊)、ジェイアール京都伊勢展覧会図録「VOCA展2019」(三本松倫代氏による作品解説)(実行委員会/公益財団法人日本美術協会・上野の森美術館刊)など。

白井晴幸個展「景色の光線|新しい影」開催概要

会期2023年8月 5日(土)~ 8 月 27 日(日)
会場BOOKS AND SONS
hIDE GALLERY
時間各会場に準ずる