考古・建築・舞台芸術・社会デザインなど20名の考察
誠文堂新光社は、2022年9月12日に、『21.5世紀の社会と空間のデザイン』を発売する。激動の予感に満ちた21世紀中葉(21.5世紀)に向け、考古、建築、舞台芸術、社会デザインなど20名の論客たちが提示する社会と空間の見取り図となる。佐藤信と伊東豊雄の特別対談では、百年、千年単位で考える公共圏のための空間を明らかにする。
本書は21世紀の折り返し地点、いわば「21.5世紀」に向けて変容し続ける生活、街、そして社会のあり方について多角的な視点から考察を重ねた。21世紀はアメリカ同時多発テロで幕を開けた激動の予感から始まった。そして現在、世界は新型コロナウイルスによるパンデミックという未曽有の危機に直面し、その予感が実感として目前に迫る。コロナ禍によって経済活動、公衆衛生、そしてライフスタイルに至るまで様々な変容が余儀なくされたが、それは果たして「ニューノーマル」として定着するのか? それともコロナ以前へと回帰していくのか?多くの人が日常的に親しんでいる住宅やオフィスなどの建築、そして劇場という施設=空間を、ビルディングタイプというその使い方やしつらえから多面的に眺め、社会とともに変化してゆくこれからの建築や空間における重要かつ注目すべき点を社会デザイン、考古、建築、舞台芸術等、20名の論客たちが鮮やかに示す。
具体的には、コロナ禍を挟んで編者・著者が学生たちと取り組んできた、街づくりやポストコロナ空間の設計競技の紹介とともに、それらの取り組みによって明らかになった、これからのリアル / デジタル両方の社会と空間におけるキーワードである「公共性」についての考察である。それは決してコロナ禍による一時的、一過性のものではない、都市誕生以来の歴史や文化も踏まえた、説得力のある応えである。今、そしてこれからを生きる人々の期待に応える一冊となる。
目次抜粋
- 21.5 世紀の社会と空間のデザインへ向けて──文明社会の危機管理と木の葉のざわめきを意識しつつ
- ビルディングタイプのゆくえを考える
- 日常から積み重ねるデザインアプローチ
- プレイスメイキングの現場で生まれるささやかな気づき
- タクティカルアプローチが21.5 世紀のビルディングタイプを拓く
- 公共圏のための空間──百年、千年単位で考える
- キーノートセッション 対論 佐藤信 × 伊東豊雄
1.広場 ── 公共圏としてのオープンスペース - 日本における先史から古代の広場・再論
- 中国都市における市 / インダス文明の広場(庭) / 古代メソポタミアの都市景観 / 近現代の広場
2.劇場── 文化芸術の居場所というビルディングタイプの行方 - 劇場の歴史を公共性から振り返る
- 小劇場と〈公共〉─〈 脱植民地状態〉を再び意識するために
- 劇場の公共について─これから起こることの先憂として
- 21.5 世紀のデザインに、公共を実装する
『21.5世紀の社会と空間のデザイン』書籍概要
著者 | 中村 陽一、髙宮 知数、五十嵐 太郎、槻橋 修 |
仕様 | A5判、256ページ |
定価 | 3,520円 |
発売日 | 2022年9月12日 |