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シンガポールの街 - 建築と色彩と風水と

多文化民族で構成されたシンガポールは民族だけではなく、建築の雰囲気も実に多様です。今回は、有名建築家の手掛けた超現代建築から、宗教的な装飾が施された寺院、そしてユニークに彩られた街の風景とその姿にも注目しながらいくつかの建築や出会ったデザインをピックアップして行こうと思います。

マリーナベイ・サンズ Marina Bay Sands

まずは私が訪れたデザインフェアIFFS(International Furniture Fair Singapore) にもなっていた、マリーナベイ・サンズからご紹介して行こうと思います。

今回IFFSが開催された会場は、高級リゾート施設としても知られる マリーナベイ・サンズMarina Bay Sands。会場のサイズなどの関係から、街の中心部より少し外れた大きな場所で開催されることも多い国際フェアですが、今年のIFFSでは、街の中心部にある巨大な施設で開催されました。この建物は、複合施設のため、展示会場から1歩外へ出れば高級ショッピングモールやレストラン、カジノ、ホテル、噴水のショーなど、華やかなリゾート地の雰囲気が満載で、大変賑やかな場所である事が感じられます。

Marinabaysands

風水とシンガポール建築

マリーナベイサンズの建築は、見た目も特徴的な形をしています。

建築設計を担当したMoshe Safdie (モシェ・サフディ)は船のデッキからこのデザインを着想したそうです。またこの建築は近くに行ってみると、曲線状に沿っている不思議な形をしていることに気づきます。ちなみにタワー1の傾斜角度は26度、そのナンバーと同じ2と6を足すとラッキーナンバーの8になる、という風水に基づいてたてられているとのこと。

実はシンガポールの多くの建築は風水に基づいて建てられている事が多く、伝統的な建物だけではなく、マリーナベイ・サンズの様な現代建築や、国際的な大型ホテルやリゾート施設でも、毎年風水師を呼んでアドバイスを貰う事が多いそうです。今回 私自身もシンガポールのホテル建築を見学する機会を頂き、その中で最も印象的だった事の一つが、ホテルと風水のお話でした。例えば風水師から「東のこのエリアでは、竹のモチーフを置くと良い」というアドバイスを頂いた場合、竹に関するインテリアの飾りを東のエリアに追加したり、また、プールや部屋の位置なども、風水師のアドバイスを参考に配置する場所や方角を決めている事が多いそうです。私が見学したホテルは4つ星クラスの大型国際ホテルだったのですが、香港人による個人経営の建物ではなく、海外から香港へ進出した施設にも、風水という思想が取り入れているのが意外な気がしました。

marinabaysands

シンガポールを歩いていると、角の取れた建物が多く、不思議に思っていました。

調べてみると風水的な理由でそのような角が90度ではない形状のたてものにしている事が多いようです。伝統的な建物ではなく、非常に近代的な建築物や、外資の国際ホテルなどでも未だに風水の考えが根付いているのが面白いですよね。

風水では「水=金運」を表し、水は大変縁起の良いもの。
川を流れる近くの家は金運が良い土地だと言われています。
そして水に取り囲まれたマリーナベイ・サンズ、上空のプールだけではなく、建物内部のショッピングセンターにも、ゴンドラの浮かぶ川が中心に流れています..! 川の上部は吹き抜けとなっている空間なので、全ての階のお店にも金運を運んでくれる意味が、あるのかもしれません。

Singapore-river

ほかにも、街を歩いていると、角度に特徴のある建物をみかけることがよくあります。風水において、八角形は大変縁起の良い形なのだそうです。

例えば、こんな建物や...

Eight_1

こんな建物など...

Eight_2

風水では「交差する地点」や「角」などにに悪い気が溜まるとされており、それを散らす為に様々な工夫がされているそう。そしてこのような八角形の図形や角度は全ての方向からエネルギーを引き寄せる形として、建築にとりいれられているそうです。シンガポールは都市計画に風水を取り入れた結果、驚異的な経済成長を遂げ、アジア有数の経済国になったとの説もあるほどです。

シンガポールの1ドル硬貨も、八角形の図形が刻印されていますが、これも風水的な幸運の意味が含まれているそうなので、もしも手にする機会があればチェックしてみると良いかもしれません。

植物園 ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ ( Gardens by the Bay )

さて、次はマリーナベイ・サンズの東側に隣接するこの不思議な場所に注目してみましょう。

ここはイギリスの建築家ウィルキンソン・エア (Wilkinson Eyre) が設計した奇妙な姿の巨大な公共植物園。2012年にオープンしました。総面積約110ヘクタールという広大な敷地を有する ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ は、ベイ サウス、ベイ イースト、ベイ セントラルの3つの庭園から構成現在25万種の植物が生息しています。夜にはライトを使ったショーが行われ、空中通路を歩く事が出来るなど、植物を鑑賞する以外にも楽しめるポイントが沢山あります。不思議な形の人口ツリーは、高さが約25~50メートルほどの高層庭園。何と200種類162,900本以上の植物を外壁に巻いています。

Gardens by the Bay

夜になるとこの巨大ツリーでは音楽と主に楽しめる光のショーが行われます。この植物園は、昼と夜で違った雰囲気を楽しむことが出来るのも魅力の一つ。通常の植物園とはイメージが異なりテーマパークの様な雰囲気。

人工的な雰囲気と自然物が同時に存在し、シンガポールの都市らしい独自の空間を創り出しています。ちなみにこのナイトショーは毎日無料で一般公開されているので、マリーナベイ・サンズから歩いてきて自由に楽しむ事が出来ます。ショー10分前くらいから、大勢の人々が場所をとって楽しみに待機している姿も見られました。

ルイ・ヴィトン・アイランド・メゾン(Louis Vuitton Island Maison)

次にマリーナベイ・サンズのすぐ隣にある水面に浮かぶ不思議なクリスタルの島のような建物、ルイ・ヴィトンのショップを見てみましょう。この建物を手がけたのも、マリーナベイ・サンズ・ホテルとおなじく、建築家のモシェ・サフディ氏。店内のインテリアは、ニューヨークに拠点をおく有名デザイナー、ピーター・マリノ氏 (Peter Marino)がデザインしています。

ルイ・ヴィトンは、世界中の店舗空間にて、著名な現代建築家やデザイナーとコラボレーションしてショップをデザインしているのも特徴。ストアを見るだけでも面白いですよね。

Louis Vuitton Island Maison2

船の中のような内装は、開放感のある広い空間。自然光が感じられる明るい店内に、木製の飾りが。空中にただよう幾何学的な流木のような雰囲気です。

Louis Vuitton Island Maison

Louis Vuitton Island Maison3

外観は水に浮かぶ島のように見える建物ですが、実は水の下には マリーナベイ・サンズからつながる地下通路があります。

Louis Vuitton Island Maison4

現代アートギャラリーのようなカラフルでポップな空間です。赤い通路や、曲線状の道も風水を意識しているのかも知れません。

店内はルイ・ヴィトンのコレクション以外にも、アートブックや展示品、デザイン家具などが並んでいます。

店内を歩いていると、偶然いくつか有名なデザイン家具がさりげなく置いてあったので、解説してみようと思います。特に説明文などもなく、こんな感じでお店の隅などにちょっとした家具があるのですが、どれも有名なデザイナーの手掛けたプロジェクトです。以前ミラノサローネ(イタリアの国際家具見本市)でも展示されていた記憶があるのですが、一度見ると忘れないような、印象が強いユニークな椅子が多い印象です。

The Objects Nomades (オブジェ・ノマド・コレクション)

これらの店内に見られる家具は2012年より、ルイ・ヴィトンによるThe Objects Nomades(オブジェ・ノマド)というラインで製作されたコレクション。ルイ・ヴィトンの持つ高いクラフト技術と世界中のデザイナーのコラボレーションにより、機能的でイノベーティブな家具を生み出しています。毎年イタリアで行われるミラノサローネでは新作を発表しており、注目される展示のひとつとなっています。

Cocoon by Fernando & Humberto Campana

まずはブラジルの兄弟デザイナーデュオ、 Fernando & Humberto Campana(フェルナンド&ウンベルト・カンパーナ)による Cocoon(コクーン)という椅子です。カラーバリエーションはなんと25種類。

The Objects Nomades

Hammock  by Atelier Oï

後ろにみえる革で編んだHammock (ハンモック) Atelier Oï(アトリエ・オイ)によるもの。カラーはこのキャラメル色とブルーの2色展開。見事に革を立体的に編み込んでいます。カジュアルなイメージのあるハンモックですが、素材やデザインによって新しい印象を感じます。

お庭やプール、ビーチなど、リラックスできる空間に、エレガントで心地よい雰囲気を生み出しそうですね。

Stool by Atelier Oï

ハンモックの手前に置かれている黒いオブジェクトは同じくと Oï によるスツールです。 このスツールは3つのキーワードで構成されています。1つ目が collapsible(折りたたみ式)、2つ目がJapanese art of origami(日本の芸術である折り紙)、そして最後はLouis Vuitton’s leather craftsmanship(ルイヴィトンの革のクラフトマンシップ)。内部のアルミでできたストラクチャに選び抜かれた8種類の美しい色の革が貼られています。丈夫で心地よいシートは一瞬で組み立てる事が出来、付属のストラップで持ち運ぶ事も可能です。アトリエ ・オイは1991年にスイス・ヌーヴヴィルで設立されたデザイン・スタジオで、建築、インテリア、グラフィックなど幅広いジャンルを手掛けています。

Atelier Oi

Concertina Table by Raw Edges

ハンモックとコクーンチェアの間に見えるお花の形のようなものは、ロンドンに拠点を置くデザインスタジオRaw Edges(ロー・エッジ)による Concertina Table(コンサーティーナ・テーブル)です。家で美しくシンプルに楽しむグッドラックチャームとして製作したそう。四葉のクローバーのようなテーブル トップはヴィトンのアイコニックモノグラムの花を連想させます。ここでは置かれていませんでしたが、お揃いの椅子もあるのでセットで使うことが出来ます。色は全部でキャラメル、ブルー、グリーンの3色展開。

Raw Edges

Lounge Chair By Marcel Wanders

マルセル・ワンダース(Marcel Wanders)によるラウンジチェアー。持ち運び出来るリラクゼーションを創りだしました。それは3つのパートからなる旅行バッグのような姿です。それぞれ独立したモジュ−ルはは革ベルトによってつながっており、パズルのように組み合わさる事で1つの心地よいラウンジチェアーとなっています。色は赤、白、黒、そしてキャラメルの4色展開。ぱっとした赤色が、このストアの雰囲気によく似合っていますね。

店内から外へ出ると広がるテラスのようなリラックス空間。椅子にゆったりもたれながら外の景色を眺める事が出来ます。

Marcel Wanders

アートブックが並べられた本棚

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自然光の感じられるガラスのパネル。商品にダメージがないようにUV加工されているそうです。

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カラフルなレザータグ。旅行バッグ等に取り付ける様子を想像して楽しい気分になります。「旅」がテーマのルイ・ヴィトンらしいですよね。

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